【 交流酒場 】の設立は、
それまで、ほとんど、小さなチームの中でのみ活動していたおれに、
非常に多くのものを運んでくることになった。
その最たるものが、【 新しい盟友達 】。
盟友が大きく増えていくにつれて、
おれは、色々な人と冒険を共にすることになる。
小さなチームを支えるべく僧侶をしていたおれだが、
大きな世界へ出てみると、
同じく僧侶を得意とする人はいくらでもいた。
【 おれが僧侶をしなくても、何の問題もない世界 】。
それどころか、おれが僧侶をする事で、
【 本職が僧侶の人 】や、
【 これから僧侶の練習をしたい人】の、
妨げになってしまうこともあるかもしれない。
当時、金策と修練をかねて、
日夜積極的に行っていたオーブハントの最中、
盟友の何気ない一言で、おれはそう気づかされてしまった。
戦士か僧侶。
当時、どちらを本職にすべきか悩んでいたおれだったが、
ここで、一度ふっきれた。
(゜ロ)< 誰とでも、気持ちよく冒険できるようになりたい!
多くの職業を、それなりにこなせるようになろう。
どんな人と組んだとしても、
その人のやりたい職業を後押しできるように。
それは、戦士と僧侶、どっちが本職か定められないような
おれのちっぽけなプライドを捨て去るに、十分な理由だった。
さて、しかし、多くの職業をこなすように、
といっても、どうしたものか。
時間は有限、資金も有限。
全ての職業をまんべんなくやろうとすれば、
おれはパンクしてしまうだろう。
そこでー・・・
おれは各職業を、戦闘時に限定して、4つのロールに大別してみた。
【 アタッカー 】
◆ 強大な火力で、敵を打ち砕く職業。
【 ディフェンダー 】
◆ 相撲やキャンセル等を駆使して、壁となりPTを守護する職業。
【 エンハンサー 】
◆ 味方の強化や敵の弱体を得意とする、遊撃的職業。
【 ヒーラー 】
◆ PTの傷を癒し、敵を倒すまで戦線を維持する職業。
収得するスキルや、扱う武器によって、さらに細分化されたり、
ロールを跨いで活躍できる職業もあるが、
まあ、大きく分けると、戦闘中の役割はこんなものだろう。
全ての職業を使いこなすことは無理でも、
各ロールに属するものを、1つずつでも鍛えておけば、
どんなタイプの冒険者とPTを組むときでも、
困ることは少ないのではないか。
ヒーラーは僧侶で上等。エンハンサーは棍旅で十分だろう。
オノ戦士がディフェンダーになれる相手は限られているが、
一応はこなせる事にしておく。
というわけで、当時のおれに足りなかったのは、
何をさしおいても、【 アタッカー 】に属する職業の修行であった。
アタッカーに分類する職業。
当時の花形は、魔法使い、ツメ武闘家、そしてバトルマスター。
このどれか1つでも使い物にすれば、
PTを組める職業の幅が大きく広がるはず。
鍛える職は、2秒でバトマスに決まる。
しかし、オノ、棍、スティックしか使えないので、
新たな武器の扱いを、1から修行せねばならない。
バトマスの武器は、片手剣、両手剣、そしてハンマー。
◆ 片手剣を収得できれば、戦士でもディフェンダーを確立できる。
◆ 両手剣は戦士ではオノと役割がやや被る。でも、天下無双はロマン!
◆ ハンマーを扱えるようになれば、パラも兼業できるようになる。
当時のおれは、両手剣をまず候補から外し、
片手剣とハンマーで大いに悩んだ。
、
【おれがディフェンダーやるなら、片手戦士とハンマーパラどっち?】
長い葛藤の末、おれが選んだのはハンマーだった。
自分を納得させた理由は2つ。
1つは、片手剣より技がトリッキーで、
戦っていて楽しそうだったから。
もう1つは、片手剣の修練を短期間で積むには、
【オノ】のスキルを手放す必要があったから。
ともあれ、ハンマーを極めるためには、パラのLVUPも不可欠。
バトマスを鍛えるついでに、
今まで基礎能力の訓練しかしていなかったパラの修行も、
これから本格的に始めよう。
おれは、それからしばらくの間、
チョッピ荒野へと篭もり、これまでに無いスピードで、
バトマスとパラを、実戦レベルまで引き上げる修行を行った。
この修行で、おれは一応、LVと装備の上では、
4つのロールを全てこなせるようになったのである。
~~続く~~