【パラディンと行く!迅速なキラーマジンガ討伐!】
・・・『達人』が示した修行内容(クエスト)の1つにあったものだ。
報酬は宝珠や石版5枚。
現状の達人クエストで得られる最大の報酬である。
冒険者は数多くとも、
騎士として戦場に立てる者は未だに多くない。
いや、逆に昨今では、
パラディンを守りの要とした戦術は衰退の一途をたどり、
逆にその人口は減っているのではないかとさえ言える感じである。
つまりこれはー・・・
(;゜ロ)< ついに本職パラであるおれの出番・・・!!
☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆
ここは『 リンジャの塔 』。
あれから一週間が過ぎた。
おれは、一心不乱に悪魔【べレス】と戦い続けている。
☆ ☆ ☆
『 3秒遅れじゃ 』
達人はにやりとしながらのたまった。
『 わっはっは!本職パラが聞いて呆れるのう! 』
苦い顔でうなだれるおれに、
達人は笑いながら追い打ちをかける。
そう、今回のクエストは失敗に終わったのだ。
おれは先週、パラディンとして、
多くのptから誘いを受けて、キラーマジンガと相対した。
無論、その内のほとんどの戦いは
時間内に勝利する事ができたのだがー・・・
時間がオーバーしてしまった、
もしくは、あろう事か全滅してしまった戦いもあったのだ。
魔法使いや賢者たちと組んで戦う、
いわゆる【テンプレ構成】では負けることは滅多にないだろう。
だが、集まったメンバーが全員、
魔法使いや賢者、僧侶ができるという保証もない。
特に、副業として冒険者をしている人(サブ等)は、
十分な準備をして挑むこともできないのだ。
その場合、パラ入りでも勝つためには、
【テンプレに頼らない戦術】を組み立てる必要があるだろう。
多くのケースでは、火力が足らないという事態に陥る。
1体目が弱りきる前に、2体目が現れて暴れ出すのである。
こうなると、敗戦の色は濃くなり始める。
ならば、パラディンがなすべき事は何か。
無論、答えは1つである。
☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆
【 槍 】を取り、
壁を維持したまま攻め切るのだ。
その判断に至るのが若干遅れ、
規定時間を3秒オーバーしてしまった戦いがあった、
というわけだ。
悪魔べレスとの戦いで得られるものは
【 狼牙突き 】の宝珠。
もしあの時おれが手に入れていたならば、
あの3秒の遅れを取り戻してくれたかもしれない極意である。
槍のスキルは一般的にはマイナーだが、
おれは本職パラとして、
以前からこの極意は一応拾得するつもりでいた。
が、実用に、と言うよりは、
(゜ロ)< マイナーな奴わざわざつけてたら本職っぽいでしょ!
という感じで、【 ステイタス 】【 カッコ付け 】が
大半を占めていた部分も否めない。
だがー・・・
こういった不意の【抜き打ちテスト】に見事にハマり、
醜態をさらす羽目になってしまった。
あらためて、
おれは槍術を磨くことに力を入れようと思う。
いつかまた、不意にパラディンが必要な戦いで、
極力遅れをとらないために。
~~~FIN~~~