DQXと直接関係のない記事(第4話)を綴ってあります。
興味のない方はすっ飛ばしてやってくださいw
☆ ☆ ☆
あれから
ザラは、なんとか砂漠の街にとけ込むことができていた。
背中を押してくれたのは
DQXにも搭載されているあのシステム
【 定型文 】
の存在だ。
ザラのテンプレはこう。
【こんばんは~】
【チャット遅いかもですが】
【ご一緒してもいいですか?】
大体これだけ最初に言っておけば、
あとはちょこちょこ喋るだけで、驚くほどスムーズに
野良生活を送ることができていたのである。
しかしー・・・
淡々と進むクエ回しの日々に
おれは段々違和感を感じ始めていた。
おれは別に、効率よくランクを上げたいわけでも、
いち早く良い装備がほしいわけでもない。
極論、別に他人の協力を仰がずとも
一人で装備を集め、大概のクエをやり抜く自信はあるのだ。
それでもおれが仲間を求めるのは・・・
(;ロ)< ぶっちゃけフレが欲しかったんです!
そんなある日。
ザラは偶然、唸るほどの凄腕の2人組と
共に狩りをする機会を得ていた。
その二人は知り合いらしく、
まるでルパン三世が、
相棒と話してるようなニヒルな会話が、
初心者のおれにはすごくカッコよく見え、
その人たちに、羨望の気持ちさえ沸いてきていた。
クエが終わった後、
なんとそのうちの一人が、おれに話しかけてきた。
『 ザラさん強いねぇ! 』
(゜ロ)< !!
ベテランっぽい人たちに、
実力が認められてた!?
おれは嬉しくなり、
柄にもなくそこから会話は少し盛り上がり、
おれは街に来て初めて、すごく楽しい気持ちになっていた。
(゜ロ)、 これか!おれが求めていたものは!
これは・・・いける!
この人等にフレ申請するしかないッ!
と思いつつ、なかなか踏み切れないザラ。
その姿、もはやヒストリカ博士の如し。
勇気を出せおれ!
ザラターン・イズ・奮起!!
(゜ロ)< ミーとダチらなぁい!?
勇気を振り絞り、
そう打ちかけた瞬間(台詞は変えてあります)
間が悪く、
街に新しく訪問者がやってきた。
訪問者の名は
【 HUNTER 】
無論このHUNTERは、前回の人とは別人である。
何せデフォ名なので、珍しい名前ではないのだ。
彼は挨拶もなく、
無言でおれ達のいる酒場へ押し入り、クエを受注し、
ボードに貼り付けた。
挨拶がないだけでもマナー違反になるが、
クエ回しルールも無視して、
無言でクエを受注しても、ついていく人はまず居ないだろう。
そういう輩には無視を決め込むのが
狩人たちの暗黙のルールであった。
凄腕の二人も、一言も発する気配はない。
そういうときの街の空気は何より苦手だったが、
とりあえずおれも、それに倣っていた。
だが、その日は少し様子が違った。
『 こんばんは 』
無言のHUNTERが、口を開いたのである。
『 てつだってもらえませんか 』
順序は滅茶苦茶だが、一応筋は通してきた?
おれはベテランの二人を見る。
二人は、何も発さない。肯定も、否定もしない。
『無言』『荒らし』。その対策、か。
『荒らしって最近多いんだよねw』
初日のおれとHUNTERが、なぜか重なって見えた。
無言?荒らし??
・・・違う。
この人は、知らないだけなんだ。
困ってるかもしれないんだ。
・・・と、そう思ったのが良くて3割
つまるところ、おれはその沈黙に耐えきれなかったのだ。
『 おれでよければ 』
おずおずと、手を挙げる。
『 いてら~~w 』
ベテランたちは、笑って送り出してくれた。
なんだ、貧乏くじってことか。
狩猟は、HUNTERが一度やられた以外は、滞りなく進んだ。
【尻尾お願いします!】にはイラっときたけど;
彼はクエの終わりに、定型文でこう言った。
【 グッチョブです! 】
なんだそれ
おもしろいと思って定型文を編集したのか。
苦笑いで『w』と返す。
彼は、得意げにまた口を開いた。
【 グッチョブです! 】
不覚にも、画面の前で吹き出してしまうおれがいた。
街に帰ると、ベテランたちはもう居なかった。
まあいっか、と思った。
見上げれば、砂漠の空はこんなにも青い。
おれの中でようやく何かが始まった。
そんな気がした。
~~つづく~~