『 やあテゼ。』
マティル村跡地。
真紅の鱗を持つリザードマンに、おれは挨拶していた。
竜守りの巫女と契約して竜討士となり、
【 常闇の竜 】を鎮める戦いをはじめて数ヶ月。
ここを訪れるのは、もう何度めになるだろうか。
だが、今日おれがここに来たのは、
かの竜と戦うためではない。
『 よウ竜討士。丁度良いとコろに来たな。
頼まれてたもンが、出来上がってるぜ 』
真紅のリザードマン、テゼは、ぶっきらぼうに言うと、
おれがその言葉に反応するよりも早く、
一本の【 槍 】を投げて寄越す。
おれは慌ててそれを受け止めた。
そして改めて、じっくりとその槍を眺めてみる。
・・・黒いー・・・
まるで宵闇を思わせる、暗い輝きを放つ漆黒の槍。
『 持っていケ。お前の新しい槍だ。
常闇の槍、とでも言っタところか。 』
☆ ☆ ☆

☆ ☆ ☆
『 ありがとう! 』
テゼに礼を言う。
うん、見事な槍だ。
アストルティアに、これと同じ槍を作れる職人は、
おそらく一人としていないだろう。
『 しかシー・・・』
テゼは目を細めながら首をひねる。
『 槍を選ぶとは珍しいナ。 』
ここには他の竜討士達も来るが、
テゼに制作を依頼する武器の中で、
槍を選ぶ人間はなかなか居ない、と、彼は話す。
無理はない。
おれたちの世界では、
槍はさほどメジャーな武器ではないから。
(゜ロ)< それに、デザインがそれほど良くな・・・げふん!
最後の部分は伏せておいて、そう説明をする。
『 では、何故お前は槍を選ンだ? 』
そう聞かれ、おれは目を閉じた。
瞼の裏に、少年の頃の思い出がよみがえってくる。
『 おれが槍を選んだのはー・・・
そう、願掛けみたいなもんさ。
もしも、力ある竜と百度対峙して
得られる武器があるのなら、
それは槍がいい、と、前からそう決めてた。 』
昔、吟遊詩人から聞いた、
ここではないどこかの世界の歌。
少年だったおれが憧れた
その歌のお題の一つに
【 竜槍 】の伝説はあった。
竜槍、と呼ばれるその槍は、
武器としての、そのすさまじい威力も去る事ながら、
相当な貴重品でもあった。
手に入れる方法は一つ。
強大な力を持つ竜と戦い続けること。
大陸に覇を唱えた皇帝も
歴史に名を刻んだ英雄も
そしてその裏を生きた冒険者達も。
【 竜槍 】を求めて彼らは強大な竜と戦い続け、
その果てに、それを手にする。
そして、その槍の真の力を解放する為に、
また果て無き修練の旅を続けたのだという。
『 だから、こいつはおれが
おれ自身の冒険の旅で手に入れた竜槍。
いわば、【 竜槍レグナード 】
ってとこだな。 』
テゼはあきれ顔で、
照れ笑いをするおれを見る。
『 常闇の槍は只の飾り槍ダ。
べつに常闇の竜の力が宿ってるワけでも
いくら使い込んだッて、その竜槍とやらみたいに
真の力が眠ってるわけでも無いンだぜ? 』
『 いいんだよ、願掛けって言ったろ。
要はいずれ、この常闇の槍にふさわしい
実力付けてやるってことだよ。 』
ほォーン、と、テゼは興味なさそうに唸り、
こうのたまった
『 つまりアレだな 』
☆ ☆ ☆

☆ ☆ ☆
ザラターン は 竜槍レグナード(のつもり)
を 手に入れた!(という設定)
♪ てってれーん♪
『 って事だナ 』
☆ ☆ ☆

☆ ☆ ☆
『 ・・・ 』
『 ・・・ 』
☆ ☆ ☆

☆ ☆ ☆
プリネラ 『 すごく…痛々しいです 』
『『 聞いてたの!? 』』
~~~FIN~~~