昨日、団員のボッコさまから、【金魚鉢】が届いた。
最近、カタキさんの手によって創り出された【道具鍛冶専用ロボット】。
それが《クラボッコ》。
何故かみんな、彼女をボッコさまと呼ぶ。
ボッコさまは毎日コツコツ道具鍛冶をする。
作ったハンマーや針を売って、コツコツお金を貯めている。
ある日、ご主人様のカタキさんが、大きな家を買うことになった。
ボッコさまのコツコツ貯めたお金の入っているトンブレロ貯金箱は、当然のように取り上げられた。だって彼女は、ロボだもの。
ボッコさまがコツコツためた、5000ゴールド。
カタキさんは、貯金箱をたたき割って笑った。
カタキさん 「中身より」
カタキさん 「破片の方がおおい~~~~!」
ボッコさまは、次の日からもコツコツと、ハンマーや針を作り続けた。
毎日毎日、少しずつの道具鍛冶。
カタキさんが大きな家を買った後、ボッコさまは、元々カタキさんが住んでいた、小さな家をお下がりで貰うことになった。
【財団法人クラボッコ製作所】
カタキさんの手によって、家の玄関にはなんだか物々しい看板が掲げられたが、ボッコさまは嬉しそうだった。
家ができたお祝いに、おれはなんとなく、【ブランコ付きの庭木】をボッコ様に贈った。ボッコさまは喜んでくれたようだった。
しばらくして、おれはその製作所を訪ねてみた。
仰々しい看板をくぐり、建物の中へ・・
すると、内部は・・・
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なんか、Vロンだった・・・。
【Vロン】としか形容できなかった。
ザラ 「竜の巣・・・。」
最初は、カタキさんが処理に困ったVロングッズを、この製作所にとりあえず置いていただけだというがー・・・
この家を見たお友達から、
「カタキさんはVロングッズ好きなのねw」
と思われたらしく、お友達が手に入れたVロングッズが、次々に送られてくるようになったそうだ。
ちゃんと飾らないと、お友達に悪いから・・・
と、カタキさんは貰ったそばから配置した。その心意気は尊敬に値する。
だけど、決して本宅には1つたりとも置こうとはしなかった。
しまいには、この家の惨状をみたチームメイトの一部も、悪ノリで、この製作所にVロン家具を贈るようになりー・・・こうなったというわけだ。
それでも、ボッコさまは、この足の踏み場もない製作所で、
毎日コツコツ道具鍛冶。
いくつかハンマーいただいた。
贈られてきた鍛冶ハンマーは、すべて★★以上。
わざわざより分けてくれたのだろうか・・・。
ある日、おれは冒険のさなか、ある転生モンスターと遭遇する。
その魔物からのドロップで、【金魚鉢】のレシピを入手した。
いつか、ボッコさまがコレを作れるようになったら、制作を依頼しよう。
願いを込めて、ボッコさまにレシピを贈った。
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金魚鉢が届くのは、もっともっと、先の話だと思っていた。
きっとボッコさまは、この金魚鉢を作れるようになりたいがために、猛特訓を積んだのだろう。
あの、小さなボッコさまが・・・
【さみだれづき】の一突き目で昇天していたボッコさまが・・・
立派になって;;
おれは、ボッコさまに、材料費は素材と現金、どっちで渡せばいいか尋ねた。
しかしー・・・
ボッコさまは、目を閉じて首を振った。
ボッコさま 「オダイハ結構デスw」
・・・
・・・
・・・
おれは、目頭が熱くなりながらも、取りあえず結晶だけでも、と無理矢理郵便で送りつけたのだった。
ボッコさまの作ってくれた金魚鉢。
大切にしよう。
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★ ★ ★
おまけ
そのあと、おれはボッコさまを連れてゴーレムを叩きに行った。
転職させて、【七夕の剣】を持たせるためである。
七夕のイベントを終わらせてから、いろんな写真を撮ってきた。
おれが打った三振りの七夕の剣は、こうして無事に無くなった。
武器でも家具でも、使い手がいる限りそこにはドラマが生まれる。
そう思えば、たとえ赤字になったとしても、造る意味はあるような気もする。
あと12回使える七夕ハンマーを見て、おれは苦笑いをした。
うーん・・・どうしたものかねぇ;w
~~~FIN~~~