【水やりWARS・完結編(後編)】
少女から語られた意外な真実・・・
水やりドワ子は、彼女の所属するチームの、見習い団員であること。
その子が、酒場にうっかり忘れてあったおれの【冒険日誌】を見つけて、それを読んでしまったのだということ。
そして、そこに書かれてあった、おれの水やりへのコダワリを発見して興味を持ち、いたずら半分で、隠れながら水やりをしていたのだ、と。
次々語られていく事実。少女はなおも話を続けようとする。
しかしー・・・
不意に、狩り場の空中を旋回中だった【シルバーデビル】が我々を発見し、強烈な殺気を放ちながら滑空してきた。
おれは、あわてて迎撃の体制を整えようとする。
だが、前に立っていた少女は、上空を見据えたまま、それを右手を上げて制した。
まかせろ、とでも言うつもりなのだろうか。
銀の悪魔は手強い。多少腕に覚えがあるとしても、一人で戦うには分が悪すぎる!
そう語りかけようとするおれだったが、その台詞を実際に喋ることはできなかった。
少女の放つ【闘気】が尋常ではなかったからだ。
少女は静かに目を閉じ、身体に不釣り合いな大剣を大上段に構える。
次第に剣先に【闘気】が収縮され、剣全体が輝きを帯び始めた。
程なく、銀の悪魔が奇声を発しながら腕を振り上げて、少女に突撃する。
その刹那・・・
少女は目を見開き、雄叫びを上げながら両手剣を振りおろした。
【渾身の一撃】は見事に銀の悪魔を捕らえ、
あわれ悪魔は地に叩きつけられた。
流石に一刀両断、とまではいかないものの、大勢はすでに決しているのは誰の目にも明らかだった。
程なく戦闘はおわりー・・・
少女は一息つくとおれの方を振り返り、人なつっこい笑みを浮かべた。
おれもとりあえずは笑みを返すが、多分ひきつっていたことだろう。
そういえば、この少女の噂はどこかで聞いたことがある。
ウチと同じメギストリス王国管轄で、ウチよりも数段上のランクに位置するとあるチームに、その名があったような気がする。
そんな強豪チームの【ご令嬢】に目を付けられていたとは、果たしてこれは幸運なのか、はたまたー・・・
★ ★ ★
そのあと、おれはその少女につれられて、
ついに【水やりドワ子】と対面を果たした。
お花の名前を持つそのドワ子は、おれと会ったときこそ、ばつの悪そうな顔をしていたが、すぐに打ち解けてくれた。
そもそも、おれは水やりを受けこそすれ、謝られるようなことはされていないのではあるが・・・;
ドワ子と【盟友の誓い】を交わし、おれはついに、彼女の畑へと案内された。
うう、おれがこの日をどれだけ待ち望んだことか・・・;;
おれの気持ちを知ってか知らずか、ドワ子はおれの足下でうろちょろしながら、
まだ、どわどわ言っている・・・。
ちなみに、Vロングッズが彼女のお気に入りなのだそうで、
おれの家においてあったラグは、からかい半分では無く、純粋に欲しかったので買って帰ったということだった。
そんな彼女の家を、あとで何となく訪問してみたらー・・・
やっぱり、そこそこの、
【竜の巣】だったのね・・・・;
Vロングッズ欲しかったら、【クラボッコ製作所(バックナンバー参照)】から、好きなだけ持ち出して下さい;;
~~~FIN~~~