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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ザラターンの冒険日誌

2023-04-08 10:41:46.0 2023-04-08 13:56:01.0テーマ:その他

空を目指して(20)(ver6.1までのネタバレ注意)

『 じゃあ行くとするぜ。
  ザラたん!今度決着つけようや!

『 やだね。剣が幾つあっても足りねえよ。


…ゲンは子分達を引き連れて、
豪快に笑いながら去って行った。

台風一過。
心域の王城に残るは、これで
おれ達3人だけとなった。


『 一時はどうなる事かと思ったが…
  なんとか丸く収まったなあ。


やるじゃないか、とエスタータを誉めると、
彼女は何故か少し、戸惑った笑みを浮かべた。


『 単独行動を叱ってやるつもりでいたんだが…
  ツキモリの言った通り、
  おれが少し、過保護だったのかもしれんな。

  これじゃ、ハクオウやリナーシェの事を
  言えんなあ。はは…!


『 で、でしょ!えっへへ…
  あたしだって、やる時はやるんだから…
『 いいや。今回は…鬼。お前が正しかった。


エスタータの言葉を食い気味に遮って、
ツキモリがため息を吐く。


『 こいつ…目の前の事に集中したら、
  周りが一切見えなくなるタイプだ。

  僕が早々に見付けてやったから良かったものの…  そうでなけりゃ、今頃とっくに
  幽魚の腹の中だぜ…?


『 おいおい…そうなのか?


( ちょっとツキモリ!
  しっ!しいぃーっ!


なるほど。
失踪の際、少し様子がおかしく見えたのは…
単純にそういう事だったか。
まったく、やれやれだ。


『 今頃、幽魚の胃液で
  骨までドロッドロになってる頃だぜ…?
『 ちょ、生々しい!表現が生々しいから!!


『 ぷっ…ははは!


二人のいつものやり取りに、つい吹き出してしまう。

『 ま、みんな無事だ。
  今回は…良しとしようか!


エスタータは照れ笑いで頭を掻く。
ツキモリは舌打ちして鼻を鳴らすが…
別段、機嫌が悪いわけでも無さそうだ。


『 …帰ろうか。おれ達も。
『 …だね!



☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


帰途。

嵐の海域をどうにか抜けて、
ジュレー島の影も見え始めた頃…

イカダの端っこで一人へばっていると、
エスタータが、何やら唸りながら
近づいてきた。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 うっぷ…どうした?
  気分悪いのか?背中さするか…?


それはさっきのザラさんでしょ、と
早速のツッコミを頂く。
先ほど何があったかは語るまい。


『 わかんないなあ、と思って。

『 わかんない?

『 ヴィゴレーの気持ち、だよ。
  あたしにはよくわかんない。


…珍しく難しい顔をしてると思ったら、
さっきからそれを考えていたのか。


『 そうさなあ…
  想像でしかないが。


おれは上体を起こすと、後ろ手に頭を掻いた。


『 ヴィゴレーは…リナーシェを愛し…
  いや…彼女に恋をしていたと言うべきか。

『 だよね。指輪!ずっと持ってたもんね。

『 でもな…人にゃ『立場』ってもんがある。
  ましてや、ヴィゴレーは王様だろう?

  ジュレド王の目線でリナーシェを見たら…
  国にとって彼女がいかに怪しく、
  危険な存在だったか…分かるよな?


…仇敵が、絶対的なチカラをチラつかせながら、
対等な和平をしよう、と笑顔で擦り寄って来る。

いっそ弟の様に、救世主だ、神の使いだ、と
彼女を崇められれば楽だったのかもだが…

生憎ヴィゴレーは為政者だ。
リナーシェの思惑がどうあれ、
軽率な判断で、国を危険に晒す真似は出来まい。


しかし…個人同士で見るならば。

リナーシェとヴィゴレーは、立場も境遇も…
人との接し方等にも、意外と共通点は多い。

お互いに『仮面』を取って、
もし腹を割って話し合う事ができたなら。
二人は最高の理解者になれた。

…そんな未来もあったはずだ。


『 きっとリナーシェは、
  ヴィゴレーという一人のウェディが
  最も待ち望んでいた存在で…

  でも、野心持つ為政者としての仮面を着けた
  ヴィゴレーにとっては、最も邪魔な存在だった。

  彼は多分、悩んで悩んで…


  結局、リナーシェを排除して
  血塗られた道を往く事を選んだんだ。
  …他にも道はあったろうにな…

  殺される方はたまったもんじゃ無い。


『 うーん…でもさ。


エスタータは、まだ納得できない様子である。


『 一番わかんないのは、
  リナーシェの最期のときだよ。 

  殺すにしたって、好きだったんならさ…
  死にゆく好きな人に、
  あそこまで貶めるような言い方を
  しなくても良くない?


『 ううむ…それな。


…男の意地?いや…

腕を組んで空を見上げ、
非道の王に思いを馳せる。

……


『 もしかしたら…演技だったのかもな。

『 えっ!?


~つづく~
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