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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ザラターンの冒険日誌

2023-04-15 11:22:37.0 2023-04-15 22:32:24.0テーマ:その他

空を目指して(22)(ver6.1までのネタバレ注意)

一仕事終えた冒険者たちで、酒場通りが賑わう。
いつもの風景。
日は落ちても賑やかな、ここはレンドア島の港町。
立ち並ぶ酒場の一軒に、おれ達も立ち寄っていた。


『 何はともあれまずは…
  お疲れ様、だな!


3つのグラスが澄んだ音を響かせる。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 案の定、天星郷への手掛かり、
  掴めなかったじゃねぇか…


ツキモリの呆れ声。
天使の『ての字』も見つからなかったね、と
エスタータが笑う。


そう…ジュレットを最後に、おれ達は
エックスさんの足取りを完全に見失い…
結局ここ、レンドア島に戻って来たのだ。


☆    ☆    ☆ ☆   ☆   ☆

  
『 でもさ。色んな冒険できたし。
  詩のネタだって幾つかできたし、
  あたしは満足かな。
  ツキモリだってさ、できたでしょ。
  アストルティア見聞!


言い終わるが早いか、エスタータが、
運ばれて来た料理に歓声を上げる。


『 まあな…地上は魔界以上に
  変人だらけってのが分かってきたぜ。
  変態はお前らだけじゃ無かったんだな…

『 はは、ひどい言われ様だ。


ツキモリも、特に不満があるワケではないらしい。
口角を少し上げて、果実酒のグラスを傾けている。

彼らにとって有意義な旅になったのなら、
おれも ありがたいと言うものだ。


『 しかし、詩のネタ、か…
  今なら、例のリナーシェの詩を謳えば
  客が取れるんじゃないか?


グラスを傾けながら、
何となくエスタータに聞いてみる。
始原の歌姫の伝説は、世間ではまだまだ
珍しいはずた。

しかし…彼女は少し複雑な顔をした。


『 ん~…
  リナーシェの詩はね…
  一回、封印する。

『 ほう?


『 各地の英雄譚を調べて、纏めあげて…
  そんで、とびきりの詩にして。
  それを世界中で謳い歩く!
  それがあたしの夢だったんだけど…

  でも気づいたんだ、今回の旅で。
  
  英雄の軌跡だけを…目線だけを追いかけてても…  きっとあたしは、本当にあたしの謳いたい
  『とびきりの詩』を紡げないんだ、て。


彼女は、難しい顔を作って腕を組む。


『 それに…例えば、ザラさんはこないだ
  ヴィゴレーを語ったけど…
  彼の心、覗いたワケじゃないでしょ。

  散りばめられた情報のカケラを集めて
  ヴィゴレーと言う人物に思いを馳せて…
  ザラさんなりのヴィゴレーの物語を
  作り上げたんだ。
  
  それは歴史の真実とは
  違うのかもしんないけどさ…でも…

  大事だと思うの、なんかそう言うの!
  うーん…上手く言えないんだけど…!


難しい顔のまま、
拳を振りかざして力説するエスタータ。


『 大丈夫、言いたい事は何となく伝わったよ。
  なるほどな。 
  『とびきりの詩』、か!


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


言葉の響きと彼女の情熱に
冒険魂が刺激され、
いつの間にか、おれは笑顔になっていた。


『 うん。だから…
  心域での事はいったん忘れる。

  もっと冒険して!視野を広げて…!
  いつの日か…あたしなりの。あたしだけの!
  …リナーシェの詩ができるまで。


『 そうか。そりゃあ…
  是非聴いてみたいもんだな!


エスタータは、白い歯を見せて
勢い良く拳を突き上げた。


『 まかせてよ!
  いつか売れっ子になったら、
  ザラさんとツキモリ、
  サバの味噌煮食い放題にしてあげるからね!


『 お前…僕を馬鹿にしてるだろ…


( よだれ…
( よだれが…



…今回の旅で創ったエスタータの新作…

エルトナのラクゴの要素を取り入れたコメディ
『ヤマカミヌの鞘師』

既存のイメージに挑戦する
『三闘士のゆかいな旅』

ちょっと不本意だが…
間抜けな騎士が、船酔いしたまま単身で
海賊のアジトに乗り込む
『いのししパラディン』は…

後の彼女の路銀の足しに、
少しだけなったとかならなかったとか。


ま、かくして。
天星郷には行き損ねたが…
おれ達は、おれ達なりの冒険を…って…


『 なんだ!このエビチリとか言う
  料理はッ!

  ピリピリでぷりぷりではないか!
  聖・エビプリプリエルではないか!


ん!?隣のテーブルから響く
このノリ…いや、この声は…!


☆   ☆   ☆
☆   ☆   ☆



『 あんた…天使の…おっさん?


『 んお?
  貴様……ザラか!?



……



『『  この再会は運命だッ!!  』』



二人のおっさんの響き合う叫びは、
幸いにも酒場の喧騒に溶けてかき消された。


『『  えっ?  』』



~つづく~
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