【災厄の王編・序章】
本日、アストルティアに降りたった【災厄の王】に挑まんと、
5人の勇士達が立ち上がった。
陸亀旅団・団長 【ザラターン】
同旅団 ・副長 【アストレイ】
同旅団 ・切り込み隊長 【カタキラウワ】
心折れかけ魔法戦士 【ミラージュ殿】
リベリオお世話隊 【ムリーヤ姉さん】
いや、せめて8人揃ってからいけよ!!
というツッコミは御免こうむる。
一応、フリーそうな盟友達に、声をかけて回ったのだが、結局は5名に落ち着いたのだ。まあ、即席でこれだけ集まれば、良しとするべきだ。
とりあえず、今回は挨拶だけのつもりである。
勝とうという気などもうとう無い。
(といいつつも、これだけの豪傑が集まれば、一矢報いることくらいは可能なのでは?うへへ・・・
おれは目をギラつかせながら、参加者をチャットルームへと招き入れる。
その際、簡単に、PT構成の話はしたが、
個々の主な立ち回り方についてや、相手の攻撃に対する対策などの、
いわゆる作戦会議は全く開かなかった。
事前にいろんな情報を耳にしてはいたのだが、まずはそれを、片っ端から頭から追い出す。
あの、めちゃくちゃ強いアイツに、
初めて戦う人はまずは、何も考えず挑んでみてほしかったのだ。
【災厄の王戦】の、このあたりが、一戦に大金のかかるコインボスと違って優しい点でもある。
作戦会議や、事前準備は、いずれ来たる【本当の戦い】の時の為にとっておこう。
世界を襲う未曾有の災厄だかなんだか知らないが
要は楽しんだモノ勝ちである。
かくして我々即席同盟は、ワクワクしながら、
【闇の溢れる世界】へと旅出った。
闇の溢れる世界は、8人が二手に分かれて、それぞれのPTで、敵をせん滅しつつ深奥を目指すこととなる。
「第一班は、基本右ルートで行きます!」
「ラジャ」
2つに分かれた別PTの仲間と、いつでも会話を共用できるのが、
なんだか新鮮でおもしろい。
5人でもそう思うのだから、
気心の知れた仲間たち8人で挑むことができたなら、きっととても楽しいことだろうなー・・。
我々は魔物をけちらし、進む。
以前、副長と二人で挑んだときより、大分早いスピードで、迷宮を駆け抜ける。流石は皆、腕に少しは自信のある者達だ。
【災厄の王】の玉座まで、我々は特に苦労することなくたどり着くことができた。
我々が来たことをみとめて、【災厄の王】は、煌々と眼を光らせながら、剣を構え、身の毛もよだつほどの雄叫びをあげる。
空気が張り裂けそうな振動が、部屋中に響きわたった。
ビックリしてビリビリと痺れながら、ムリーヤ姉さんは呟いた。
「・・・これ、あかん奴や・・・;」
3分後、案の定、我々は部屋の外に放り出された。
お話にならないというやつだ。
うん・・・まずは、慣れが必要だな;
機会があればどんどん挑戦するしかあるまい。
我々の挑戦はまだ、始まったばかり。
奴を撃破するビジョンは、今はまだちっとも見えてこない。
だが、いつの日か勝利することを信じて
今回の話を【序章】としたい。
「また、きてくれるかな!?」
別れ際に、おれは皆に問うてみた。
「いいともーーーー!!」
皆が威勢良く答えてくれた。
おれはちょっとだけ、グラサンの人の気持ちが味わえた。
でも、うっかり王子だけが、こう答えていた。
「いいですとも!」
パワーをメテオに!!
~~~序章・了~~~