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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

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ザラターンの冒険日誌

2023-08-06 11:18:32.0 2023-08-20 14:36:36.0テーマ:その他

折れた魔剣(1)(※ver6.4までのネタバレ注意)

ここは女神が懐、
光の河の奥底にある「深淵の檻」。

顔の付いたプリン?はたまた、
蜘蛛のような形状のレモンスライム?が…
まるで「茶釜」のような外殻を身に纏ったような。
そんな形容し難い魔物が這いずり回る。

深淵の咎人が一、
【凶禍のフラウソン】と呼ばれている存在だ。

…奴が呪文で降らせた大火球の雨を、
居合わせた仲間達との連携でどうにかかい潜って
おれは大きく跳躍した。


『 いい加減倒れてくれよォ!?
  こンの…!茶釜ァァッ! 


空中で、剣に全身全霊を込めて大上段に振りかぶり、そして前転するように身体ごとぶつけてゆく。
『アルテマソード』。
我が剣術における、秘奥義の一つだ。

しかし…

命中の瞬間。
あろう事か、フラウロスは
その流動する身体を、一瞬にして茶釜…
外殻の中に引っ込めたではないか。


『 なッ!? 』


しかし、こちらの
勢いの付いた剣は、急には止まらない。


“ パギャァァンッ! ”


渾身の力を込めた剣は、悲鳴のような
何とも言えない甲高い音を立てながら
見事に『茶釜部分』にぶつかり…そして。



☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆




『 お、折れた…




『 はあ…何やってんだよ。



神都フォーリオンの酒場の片隅に、
ため息二つ。


…とりあえず折れた剣は鞘に納めた。
折れた原因は…茶釜が硬かったのもあるだろうが…

おそらく決定打となったのは、
少し前に、海賊と戦り合った時。
刃折りの刃…『ソードブレイカー』を
まともに刀身に受けた事。

あの件が、剣の寿命を
大きく縮めてしまったのだろう。



☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


腕を組んでため息をついたのは、
エルフ型魔族の【 ツキモリ 】。
まあ…腐れ縁の、旅の相棒のようなものだ。


『 いやあ、本当に参った。
  『こんな時』に…


おれは後ろ手で頭を掻いた。




☆   ☆   ☆ ☆    ☆    ☆


外に出て空を見上げれば、
【 魔眼の月 】と呼ばれる
『 ジア・クト念晶体 』の居城が
嫌でも目に入る。


『 いつ奴らが動き出しても
  おかしく無いってのに。

『 別に…今更お前一人居なくても
  戦況は変わらねえだろ。

『 そりゃあまあ…そうなんだが…


ツキモリに痛いとこを突かれて
おれは ぐっ、と言葉を詰まらせた。

確かに戦場は、やれ神だの英雄だの…
敵は幾多の世界を滅ぼして来た存在だの、と…

もう とうに おれ達、一介の冒険者が
介入できるような状況では無くなってきてはいる。


『 それでも…魔界の決戦の時のように、
  頭数が必要になる可能性はあるさ。

『 ふん、まぁ僕はどうでもいい。
  その辺の剣では代わりにならねえのか?

『 こう見えて、特殊な剣でな。
  同じ物は手に入らないし…
  鍛え直すなら、魔界に行かないとダメなんだ。

『 魔界…だと?

『 ああ、ツキモリ。
  お前に声をかけたのも、実はその為なんだ。


今回折れた愛用の剣は、
見た目こそ、エテーネ王国軍で採用されている
ごく普通の広刃の長剣なのだが…

その刀身は、魔界産の鉱石と、
ネクロデア王国の技術によって鍛え直されていて、
仕上げに僅かながらだが、輝晶石による
魔法的なコーティングも施された業物。

いわゆる『 魔剣 』と呼んで
差し支え無い一振りなのだ。


『 ネクロデアの技術だ?
  とうの昔に滅びた国の名だぜ。
  【オバケの友達】でもいるのかよ。

『 まあそんなとこだ。


ツキモリの冗談に、おれはニヤリと笑って返した。
『否定しねえのかよ』と、奴は再び 
うんざりした顔で、ため息を吐く。


『 ま、いいだろう。
  お前一人で魔界に行くより、
  僕が居た方が確かに
  何かとスムーズに進みそうだ。

『 おお、話が早いな!
  ありがたい、助かる!

『 別に…
  お前には一応、借りもあるからな…


魔族は照れたようにそっぽを向いた。
ぶっきらぼうに見えて
案外、義理堅いやつなのだ。


『 よし、そうと決まりゃ善は急げだ。
  さっそく魔界に向か…
『 ちょと待ったああああッ!


聞き慣れた、良く通る声に、
出立は阻まれる。
声の主は…


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 魔界!あたしも行く!
  抜け駆けは無しだかんね!


知り合いのウェディの駆け出し吟遊詩人、
【エスタータ】。


『 うわ、また面倒くせえのが。
  いつから聞いてやがった。


露骨に顔をしかめる魔族に、
頭から蒸気を出さんばかりに食ってかかる吟遊詩人。やれやれ、また賑やかな旅になりそうだ。


~つづく~
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