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碧空に砂塵舞う。
折れた愛用の剣を鍛え直すため、
おれ達は魔界へとやって来た。
まず訪れたのは…『混沌の新興国』と称されてもいる砂の都、ファラザードだ。
『 って…ネクロデアに
行くんじゃないのかよ。
ツキモリの鋭いツッコミを受けて、
おれは苦笑した。
『 いやあ…それがな。
☆ ☆ ☆
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☆ ☆ ☆
『 この剣を鍛えてくれたのは
確かにネクロデアの人なんだが…
彼があそこのどの辺に住んでるのか、とか
何処に行けば会えるか、とか
実はまったく知らないんだ。
だからまずは情報を集めようと思ってね。
あっはっは…
『 行き当たりばったりかよ。
連絡先の一つくらい
交換しておけよ!
『 面目ない…
苦手なんだよなあ、
フレ申請とか、そう言うの。
冒険者になって長いが、
こちらから申請を送った事って
数えるほどしか無いような気がする。
『 ザラさんて、そゆとこ
結構ヘタレだよねー
『 う、うるへぇ~…
呆れ笑いのエスタータに返す言葉も無く、
つい情けない声を上げてしまう。
まったく、我ながら冒険者に向いてるのか
向いてないのか…
『 そ、それよりほら!
街門が見えて来たぞ!
とりあえず、おれは
逃げるように話題を変えることにした。
☆ ☆ ☆
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☆ ☆ ☆
門を潜ればすぐに、
人混みの喧騒が耳を突いた。
雑多な建物と大小様々なテントが立ち並ぶ
砂の都のメインストリート…
『砂漠のバザール』が盛大に我々をお出迎えだ。
あいも変わらず…いや、滅神の去った影響か、
記憶が確かなら以前に増して活気ある光景だ。
『 ほぁー!賑わってるねぇー!
これ全部お店?すごっ!
それに、遠くから聞こえるあの曲…
何の楽器の音だろ!?
聴いたこと無い音っ!!
街並みを一目見るなり目を輝かせて、
猪のごとく駆け出さんばかりの
吟遊詩人の襟元のスカーフを、
ツキモリが素早く後ろから、むんずと掴んだ。
『 ぐえっっ!?
『 待て。一人で行くな。
魔界を舐めんじゃねえ。
ファラザードは一応、
親アストルティアの国ではあるが…
それと治安とかとはまた別の問題だぜ。
ほら、財布は首から掛けて、
常に確認できるようにしてろ。
商人どもの口上は、まず疑ってかかれ。
ぼったくられたり変な物掴まされる。
あいつらにとってお前らなんて、
カモネギそのものなんだからな。
あと…用がないなら
裏通りには絶対近づくな。
よそ者が怪しい動きしてると、
最悪バラバラにされて、
外の大ガラスどものエサだぜ。
それと…
喋りながらも、魔族はテキパキと
エスタータの身なりを
魔界観光仕様に整えてゆく。
( 世話焼き母ちゃんかな…
『 もー!
心配しなくてもだいじょぶだって!
魔界は初めてだけどさ、
あたしだって、これでも色んな街
渡り歩いてきてんだから!
『 お前の言う『大丈夫』は信用ならねぇんだよ、
くそ雑魚ナメクジ!
『 まーたそれ言うー!!
『 ま、まあまあ。
はぐれなきゃ多分、平気だろう。
ぼちぼち行くとしようぜ?
な!
面倒な事になりそうだったので、
二人の間に割って入る事にする。
二人はおれを一瞥した後、不機嫌そうに
そっぽを向くのだった。
先が思いやられるが…
こうして、ネクロデアの我が知り合い、
『デッドリー男爵』についての
情報集めは始まった。
しかし…この時おれ達は、
こちらに向けられた
とある人物からの鋭い『視線』があった事に
まだ気付いてはいなかったのである。
~つづく~