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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

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ザラターンの冒険日誌

2023-08-19 11:09:29.0 2023-08-19 19:21:45.0テーマ:その他

折れた魔剣(3)(※ver6.4までのネタバレ注意)

砂の都、ファラザードの雑踏を行く。

『ネクロデアのデッドリー男爵』についての
情報を求めた、ちょっとした聞き込みを終え、
待たせていた仲間の所へ戻ると、エスタータが一人、片手を上げて出迎えてくれた。

だが、その手には何か…
『お鍋のフタ』?のような物が握られている。


『 あ、ザラさん。
  どうだった?なんか分かった?

『 いやあ…今んとこ さっぱりだなあ。
  一人か?ツキモリは?

『 近くに穴場のアイス屋があるから
  行ってくる、って。

『 おおーアイスか、そりゃあいい。
  あっついしな。
  それで…そのお鍋のフタ?は何?

『 うっ…


質問した途端、エスタータは目を泳がせて、
バツが悪そうにボソボソと口籠った。


『 で、伝説の…
  け、『剣王マサトメの盾』…です…。

『 ま、マサトメ…?
  まさか…お買い上げ…
  したの…ね?


吟遊詩人は苦い表情のままコクンと頷いた。

…一体どう言う口上でセールストークをすれば
ただの鍋蓋を伝説の盾として買わせる事が
できるのだろう。


『 剣王マサトメは盾の扱いはからっきしで…
  生涯、お鍋のフタくらいしか
  使わなかった、って…

『 なるほど、つまりそれは…

『 け、剣王の盾…です。


『 ……
  ちなみに…
  ……おいくらで?


エスタータはゆっくりと、指を3本立てた。
二人で遠い目になる。


『 ツキモリには…黙っとこうぜ…

『 おなしゃっす。



『 しかし…それはそれとして。


おれは、おもむろに
後方の曲がり角に向き直った。

聞き込みをしている時から、
何やら視線を感じていたのだ。
おそらく、何者かに尾行されていたのだろう。


『 アンタも押し売りかい?
  自慢じゃあないが、おれらあんまり
  金持ってないぞ。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 ヨゥ!?
  まさか気付かれるとはヨゥ!

『 わっ、ホントに何かいた!


吟遊詩人が驚きの声を上げる。
隠れる気があったのか無かったのか、
曲がり角の壁際から顔を出していたのは、
ひとつ目の道化師のような
妙な口グセの魔物だった。


『 話があるんなら聞くだけ聞くが…
  おれらに何か用なのか?

『 ヨゥヨゥッ!
  『ニーキュッパ』で鍋のフタを
  買わされてるアホたちと話す事なんて
  何もねぇヨゥッ!

『 なあッ!?


道化師の魔物は、ニヤニヤしながら
そう吐き捨てると、
脱兎のごとく走り去ってゆく。
なんだなんだ?
スリとか盗みでも狙っていたのだろうか?

ま、わざわざ追うほどの奴でも無さそうだ。
そう思ったのも束の間、
ふいに隣から怒声が聞こえてくる。


『 だーれがア・ホだーーッ!!
  ふぬぅうおーーッ!!!


怒れるエスタータの腕から
気合いの声と共に放たれるは、
さっき買った、木製のお鍋のフタ。

解き放たれた鍋蓋は、ブーメランの如く、
曲がり角に沿って綺麗に弧を描いて飛び…


“ カコォォオンッ!“

『 ヨゥーーーッ!?!?


…そして程なくなくして、
乾いた音と、先程の魔物の悲鳴が
砂の街に響いたのだった。


吟遊詩人は満足げに親指を立てる。


『 ほら!役に立った。
  剣王の盾。

『 お、おう…


おれは、そっとこめかみを押さえた。


☆   ☆   ☆   ☆   ☆


『 さて…まったくの成り行きだが…
  折角だから話を聞かせてもらおうか。


おれ達は道化師を
とりあえず近場で人気の少ない場所に運び、
軽く尋問してみる事にした。


『 まさかこんなアホ共に
  捕まるとは…一生の不覚だヨゥ…

『 ふーん。ま~だ言うかあ。

『 ヒィ!


きっちり回収して来た鍋のフタを、
道具鞄から取り出すエスタータを見て
怯える魔物。

…おれは一体、何をしてるのだろう。

本日2度目の遠い目をした、その時だった。

上空から突如、躍り出る影が見えた。


『 エスタータ!危ない下がれ!

『 えっ!わっ!?


影から放たれるのは、一筋の剣閃!!
おれは一歩踏み込んで上方に大盾を構えた。


『 ぐ!?おおおッ!!


重い金属のぶつかり合う鈍い音が響く。
辺りに衝撃波が発生する程の、
とてつもなく重い一撃。


( 味方が居たのか!それも…
  道化師とは比べ物にならない程の
  腕利き…!


盾を打った反動で宙返りして、
影が地に降り立つ。
どうにか斬撃をいなし切ったおれは、
影を睨みつけた。


『 ほう?今のを防ぐとは。
  少しはやるじゃないか、
  異邦人。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 悪いな、そいつは
  俺の指示で動いてたんだ。


~つづく~
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