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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

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ザラターンの冒険日誌

2023-09-17 22:40:23.0 2023-09-18 14:57:02.0テーマ:その他

折れた魔剣(7)(※ver6.4までのネタバレ注意)

湿った地面に、朽ちた木々が鬱蒼と立ち並ぶ。
行く手にはうっすらと
霧のような正体不明のモヤがかかり、
我々の足をなんとなく鈍らせた。


ひょんな事からファラザードの魔王、ユシュカと
その副官、ナジーンからの望外の協力を得た我々は、折れた愛剣を直すべく一路、
砂漠を出て、原野を抜けて
【 旧ネクロデア王国領 】に足を踏み入れていた。

【 ネクロデア王国 】…かつて、
魔界随一の鉱山と、そこから産出された鉱物の
卓越した加工技術を誇り、
2000年以上に渡って栄えた強国だったが…

約200年前に、軍事国家バルディスタによって
滅ぼされ、歴史からその名を消す事になったのだと
いう。


当時侵攻軍を指揮していたバルディスタの妖術師、
ゾブリス将軍は、幻術を巧みに操って
ネクロデアの民を惑わし、最終的に国民同士で
殺し合わせるという、残虐非道な戦略を用いた。


それ故に…この国は、焦土と化してなお、
怨念を抱いたまま、死んでも死にきれぬ亡者達が
徘徊する死都となり…

ここへと至る経路は、
一人生き残った王子の名において、
永きに渡り封鎖されていたのだった。


もっとも、最近になってゾブリスは討たれ、
この国の封鎖も解かれてはいるのだが…

それでも、一度魔物と化した人々の魂は
簡単には元に戻らず。

現在でも、自我を無くした亡者達が徘徊する、
危険な地域とされていた。


『 グランド…ネビュラ!!


有無を言わさず剣もて襲い掛かってきた
骸骨の兵士達を、光の星雲でもって浄化する。


( せめて、冥福を。


腐っても、パラディンの修行をしておいて
良かったと思う瞬間だ。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


だが…ふと傍を見れば、

自慢の『しゃれこうべコレクション』を
増やそうと狙っていたのか、
骸骨兵が光の中へと
かき消えてゆくのを遠目で見ていた
一羽のデスフラッターが、乾いた鳴き声を
恨めしそうに上げて、
ほの暗い空へと飛び去ってゆく。


『 …悪かったな、他を当たってくれ。


天を仰いで、ため息一つ。
やれやれだ。


『 陰鬱なところだぜ。

『 なんか…
  やっと魔界にやって来たー、て
  実感わいてきたよ。


おれの陰から恐々語るエスタータを、
『魔界を何だと思ってやがる』と
ツキモリが後ろから小突く。


『 ま、ファラザードからだと
  落差が酷いわな。


かく言うおれも、実際魔界を訪れるまでは、
魔界全土がこういう おどろおどろしい
場所なのかと思い込んでいたクチなのだが。

今でもきっと、アストルティアの大半の一般人は
そう思っているのではなかろうか。


一般的な常識を疑い、
己自身の目で改めて物事を見る。
冒険者として生きる上で、
それは案外、重要な事なのかもしれない。
そんな事を思いながら、街道跡を歩いてゆく。


『 さて、ぼちぼち
  街門が見えてきたぞ。

『 ひえっ、門になんか、
  怖いお面?仮面?みたいなのが
  くっ付いてるんだけど…?

『 た、ただの趣味悪ィ飾り…だろ。


門が見えるなり、外壁の左右に飾られた
不気味な仮面を、二人は目ざとく見付けたようだ。



( ああ、あれな。
  初めて見た時は、おれもビビったなあ。


…そうは思っても、
二人には、なんとなく黙っておく。


『 ふふ…目を合わすと呪われるかもよ…?


しかし…
おれはこの時、誰かが生唾を飲んだのに
気づいていなかったのだった。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


街門に近づくと、例の仮面の
うつろに窪んだ目が、
煌々と光を灯しはじめた。


( この後の仮面の『あの台詞』には
  当時、無駄に感激したもんだよ。
  二人にも分かってもらえるだろうか。


おれは一人ほくそ笑んでいたのだが…
事態は意外な展開を迎える事になった。


『 うぁあーーッッ!!


仮面の目が光った時点で…
ツキモリが目を見開いたかと思うと、
予想外にビビってしまったのだ。


『 みぎゃーーーッ!!!


…まさか隣の魔族がいきなり悲鳴を上げるとは
夢にも思わなかったのか、エスタータもつられて、
意味も分からず錯乱気味に叫び出す。


『 お、おい!
  落ちつけ!だいじょぶだって!
  お前ら!なあ!


事態の収拾をはかるため、
おれは二人をなだめようと右往左往。


そのてんやわんやの一部始終を
無言で眺めていた不気味な仮面は…

しばらくして、ゆっくりと呟いたのだった。


『 あ…ありがとう。
  そんなに驚いてくれるとは…
  し、正直…思わなんだわ…。


二人の目が点になる中で。

おれ一人が…
多分……とても複雑な表情をしていたのだろう。


~つづく~
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