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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ザラターンの冒険日誌

2023-10-14 21:24:44.0 2023-10-14 22:13:18.0テーマ:その他

折れた魔剣(11)(※ver6.4までのネタバレ注意)

『 か、身体で払って貰う!? 


ベルトロの言葉に、
おれは大仰に赤面してたじろいだ。


『 おいおい、
  律儀にノッてくんじゃねぇよ、気持ち悪い。

『 ひどい言われようだな。


『 文字通りの意味さ。

  魔界大戦に端を発する一連の戦いで、
  ウチも大きな痛手を被ったってんで、
  新兵の育成も兼ねて、新しく練兵場を造ったは
  いいんだけどよ。

  どいつもこいつも平和ボケで、
  驚くほど利用者が少ねえ有り様なのさ。
  このままじゃ、責任者の俺の
  首が飛びかねねぇのよ。比喩じゃなくな。


ベルトロは苦笑いしながら
手の平で首を掻っ切るしぐさをした。
バルディスタの魔王は
恐ろしい氷の魔女と聞くが…本当なのか。


『 なるほどね。
  だから練兵場を盛り上げて、少しでも
  兵達の興味を引いて士気を上げようと、
  偶然のこのこやって来た異界からの
  珍しい旅人に白羽の矢を立てた、と言うワケだ。

『 ご明察!
  てなわけでヨロシク頼むぜぇセンセー?
  成績次第で、ご所望の品を
  贈呈するからよ!


『 期待に応えられるかは分からんが…
  背に腹はかえられん。
  どうにかやってみるさ。


…と言ういきさつで槍を取り、
気合いをみなぎらせて
おれは練兵場へと向かったのだった。


そして慣れない戦場、慣れない敵に
四苦八苦する事、数分間。


☆  ☆ ☆   ☆   ☆


『 Aランクか!
  なかなかやるじゃないか、アンタ!
  ウチでも、将兵クラスでなけりゃ、
  この得点は出せんぞ。


受付の男と、取り巻きの新兵達が感嘆の声を上げる。どうやら、ゲストとしての面目は
最低限、保てたようだ。
  

“ アストルティアの戦士も
  なかなかやるもんだな。 “

“ ベルトロ様よりは強いんジャネ “


小声で囁く新兵達を睨みつけ、
『俺の強みは腕っ節じゃなくてココなんだよ』と、
頭を指差しながらベルトロが歩いて来た。


『 なかなかやるじゃねぇか、センセー。
  …でもなあ…お前さんの戦いは…
  なんか…こう…地味なんだよなァ…
  堅実過ぎるっつーか…


『 えー!?


まさかのダメ出し。
だが彼は我が戦いを良く見ている。
確かに、失敗を恐れるあまりに
慎重になりすぎ、見せ物としては
面白味に欠ける戦法だったかもしれない。


『 悪りぃが、冥曜石にはまだ足りねぇなあ。
  もう1つ上…せめてSランクくらいは
  目指してくれよ。

『 くっ…!
  分かったよ、見せてやるぜ、
  おれの本気をっ!!


そう うそぶいて、再び戦場へ。

だが…結果は少しだけスコアを伸ばしただけで、
劇的には変わらなかった。


『 どうした兄弟、お前のチカラは
  そんなもんかァ?
  そんなんじゃ、冥曜石は諦め…

『 まだだ、もう一回!!


ベルトロの煽りに鼻息荒く、
おれは三度、槍を取って立ち上がる。


そこに…さっきから観客に徹していた
エスタータが とことことやって来て、
とんでも無い事を宣い始めた。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 ね、あたしも一緒に出ていい?


『『 えっ? 』』


突然の提案に目を丸くする、おれとベルトロ。

『死ぬぞ、くそ雑魚ナメクジ』と、
座った目で言い放つツキモリに、彼女は
振り返ってVサインを出し、
そして自信たっぷりに微笑んだ。


『 大丈夫。攻撃避けるだけなら簡単だし。


…明らかに戦闘慣れして無さそうな、
華奢な身なりのエスタータの発言に、
兵士だらけのエントランスは騒然となった。


“ か、簡単だとお!? “

“ 地獄だぞあそこは…! “

“ アイツ戦場を舐めてんじゃねェのか? “


…異様な場の空気を、
ベルトロの乾いた笑い声が制す。
顎に手を当てながら、
彼はエスタータを見定めるように目を細めた。


『 これこれ、こういうのが面白えのさ!
  そこまで言うならやってみるかい、
  嬢ちゃん!


かくして吟遊詩人の参戦が
決まってしまった。


『 どうなっても知らねぇぞ、僕は… 


なんやかんやで心配顔のツキモリ。

おれは身を屈めて、隣のエスタータに
小声で問いかけた。


( なあ、一体どう言うつもりなんだ?

( ままま、いーからいーから。
  それよりさ…


逆にエスタータが耳打ちしてくる。


『 !?


…その内容は、にわかに信じられないものだったが…でも、不覚にもなんだか『面白いな』とも
思ってしまう。

結局、決して無理はしないようにという約束で、
おれは彼女の提案を飲む事にした。

…そしておれは吟遊詩人を伴い、
三度戦場へ赴くのだった。



~つづく~
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