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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

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ザラターンの冒険日誌

2023-10-28 21:19:27.0 2023-10-28 22:59:48.0テーマ:その他

折れた魔剣(13)(※ver6.4までのネタバレ注意)

『 あれぇ…?っかしいな…


棚と睨み合って、ベルトロが唸る。

…興奮冷めやらぬ練兵場から移動して
今、おれは彼に連れられて、
城内にある倉庫に来ていた。

理由は勿論、約束の『冥曜石』を
受け取る為なのだが…

何だか嫌な予感がしながらも
おれも何げなく、棚に陳列されている品々を
物色してみる。
が…やはりそれっぽい物は見当たらない。


『 確かこの辺に
  保管してあったはずなんだけどよ…

  ようウェブニー、この辺に冥曜石って
  置いてなかったっけ?


ベルトロは、偶然倉庫に居合わせた
ドレッドヘアのプクリポ系魔族に声を掛けた。


☆   ☆    ☆   ☆   ☆


ウェブニーと呼ばれた女兵士は
ベルトロの顔を一目見るなり、
その愛らしい瞳からは想像できないような
怪訝な表情を作って口を尖らせた。


『 なに寝言言ってるんでシュル!
  アレはこないだ、泥酔したベルトロ様が
 『さ、酒場…酒場のツケがァ~~』
  とか言いながら、図々しクモ勝手に
  持ってっちゃったんじゃないッシュか!


『 えっ、そうだっけ?
  全っ然、記憶にねェんだけど…w


ウェブニーの迫真の声マネに、
ベルトロはすっとぼけた顔で
後ろ手に頭を掻いた。


『 ベルトロさあん…?


ニッコリと微笑むおれ。

ベルトロは微笑み返しで舌を出し
片目を閉じて応える、が…


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


…表情と裏腹に、ゴキンと音を立てながら
わなわなと震える我が腕を見るなり
慌てて態度を改めたようだ。


『 ま、待て待て…!
  本当に記憶がねェんだって…!


だが、反省する気はあまり無いらしい。
おれは白い目で、同じ表情をしたウェブニーと
顔を見合わせた。


『 シュみません、この人
  いっつも こうなんでシュル…

『 コレはアレじゃないのかい?
  『備蓄品の私的流用』ってやつ。

『 まったクモってその通り!
  今日~という今日は
  ヴァレリア様に報告しなイト!

  ああ!自分で言ってて恐ろしクモあり、
  でもでも~、ちょイト見てみたクモあり…?


悪い顔で囁く我々を目の当たりにして、
ベルトロの元々青い顔が
さらにみるみる青ざめてゆく。


『 ウェブニーちゃああんッ!?
  そ、それだけは!それだけはーッ!!
  悪かった兄弟!俺が悪かったって!!
  許してくれ頼む、この通ォォりッ!!


そう叫びつつ、ジャンプからの
鮮やかな土下座をキメたベルトロを見て
おれはつい、吹き出してしまう。

まったく、どこまでも憎めない男である。
慣れっこらしいウェブニーも、目を糸のようにして
ため息を吐いたのだった。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 冥曜石?
  ああ、あの真っ黒な宝石ね!

  確かにこないだ、ベルトロさんが
  溜まった支払いの代わりに
  持って来たわ!

  でもぉ…趣味じゃないから、
  酒場に来た行商の人に売っちゃった。


冥曜石の足取りを追って酒場に寄ってみる。
お客の少ない時間帯だったからか、
運良く看板娘らしき女性に話を聞く事ができた。


『 そうか…
  行商が次に何処に行く、とかは
  知らないかな?


『 そぉねえ?確か…


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 ゼクレスだ?


…酒場での聞き込みを終えて、
待たせていた二人と合流する。
ツキモリが気だるそうに呟いた通り…

冥曜石を買い取った行商人は
『ゼクレス魔導国』へと向かったらしい。


『 ああ、こうなりゃ 
  とことんまで追ってやるつもりさ。
  もう少しだけ付き合ってくれるか。


『 もち、あたしは行くよー
  もっと色んな所、見てみたいし!


ベルトロから『冥曜石の代わりに』とせしめて来た、小ぶりの宝石が幾つか入った皮袋を覗き込みながら、ホクホク顔でエスタータが応える。

ツキモリは腕を組んで
少しの間、何かを考えていたようだが…
結局は了承してくれた。


要塞出口にて。

出立する我々を、
なんと練兵場の新兵たちが
見送ってくれる。


『 おう、もう行くのかお前ら!
  俺らも負けねえように
  鍛えるとするぜ!

『 あたし今度パラやってみようかな!

『 じゃオレは吟遊詩人!

『 オメーは超絶音痴だろが!


笑い合う兵士達に手を振りながら、
おれも仲間達と顔を見合わせた。
 

『 バルディスタ…少し変わったな。


『 そうなんだ。

『 前はもっと殺伐としてたんだが…
  今は『ガラの悪い体育会系』だな。



『 それは…良い変化…でいいんだよね?


ツキモリの微妙な例えに
吟遊詩人はひとり、首を傾げるのだった。


~つづく~
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