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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 130

ライブカメラ画像

2D動画 静止画
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ザラターンの冒険日誌

2024-05-24 23:21:59.0 2024-05-24 23:22:46.0テーマ:その他

天星(15)(ver6範囲までのネタバレ注意)

『 うるせえ!
  これから…だよォッ!


…我が商売道具である『大盾』を破壊した
ジア・イロンの煽りに対し、
精一杯の虚勢で返した おれだったが…

今まで積み上げて来た、己の
『冒険者としての経験』は、
今の状況を至極冷徹に分析していた。


これはもう『どうしようも無い』と。


逃げ出す事はおろか、
援軍が来るまで耐え抜く事すら不可能である、と…


…ジア・イロンは強い。
理不尽なまでに強すぎる。
ハナから、英雄ならぬ我が身一つで
どうにか出来るはずも無い相手だったのだ。


( だからって、このまま『折れる』のか?
  諦めて潔く死ねってか?


…戦場ではまだ、
誰もが命懸けで戦っているはず。

1分でも。1秒でも…
奴をこの場に縛り付ける事に、確かな意味はある。

それに…思い出せ。


【 守りたいものを守り、
  そして手前もしぶとく生き残る。 】


…それが、我が騎士の道だったはずだ。


このままここで、誓い一つ果たせず
むざむざと屍を晒すワケにはいかない。


( 諦める?
  冗談じゃない…!

  英雄ならぬ身…?群衆だ…?
  知った事か!
  生きるぞ おれは!!

  どうしようも無いってんなら…
  今!この場で!!
  新たな道を切り拓け!!


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


いつだって…


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


いつだって、
そうしてきたはずだ!!


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


みなぎる闘志と、生きる意志が。
我が手の中で、紅蓮の戦旗となって具現する!

おれは その旗を頭上で一回転させると、
勢い良く地に打ち立てた。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 “パラディン…ガード“ッ!!

   いくぞォォアアッ!!!!


“鉄壁の進軍“を発動し、黒い魔剣を閃かせ、
おれはイロンめがけ全力で突撃した。


『 やれやれ、往生際が悪いねェ…!


そんな おれを返り討ちにしようと、
イロンは半笑いで拳を突き出すが…

一瞬後、その表情は、驚きの色に
変わる事になる。

我が一撃が、奴の一撃に力負けする事無く
拮抗したからである。


『 ンン…!?これは…


“不動の構え“、“鉄壁の進軍“、
そして“パラディンガード“…

この三つの特技を同時発動した時のパラディンは、
まさに動く鉄塊となる。
これが今の おれに出来る、最大の秘奥。


『 お前が暴れ回る鉄塊なら…!
  おれだって しなる鉄壁だッ!!

『 何ィィッ!?


そのまま、剣と拳、拳と拳の
激しい応酬が始まった。

持てる技の全てを、全力で叩き込み、
奴の攻撃全てを打ち払ってゆく。


しかし…


一歩も怯む事なく打ち合って来る おれに、
最初こそ驚愕していたイロンだったが…
次第に余裕の表情を取り戻してきていた。

相変わらず おれが
決定打を浴びせられないからである。


『 焦っているねェ、亀くゥン…?
  キミのその『絶対防壁』には、
  タイムリミットがある。
  そうなんだろォ?


イロンが邪悪に微笑む。
早くも、パラディンガードのカラクリは
見切られ始めている。

おれが文字通り無敵でいられるのは、
たった26秒だけなのだ。


『 その僅かな間だけェッ!
  ボクと張り合えるのはァ…!

『 それが…どうしたァッ!!


だが、おれも26秒で奴をどうにかできるとは
最初から思ってはいなかった。

自暴自棄を装い、焦る気持ちを抑えながら…
猛攻を仕掛ける その裏で、奴の一撃一撃を
どうにか見極めようとする。


( 奴の攻撃は重いが、
  あのラダ・ガート王の剣よりも疾いか?
  いや…そんな事は全然無い。

  落ち着け、思い出せ…
  一度だけ“王牙衝“を見切った、
  あの時の感覚だ…!

  あの感覚をモノに出来なきゃ…
  おれは…確実に死ぬ!


…そう、この26秒は覚悟を決める為の時間だった。無論、死ぬ覚悟じゃあ、無い。


…生きる覚悟。


程なくして。
パラディンガードの防壁は、無情に潰えた。

それを確認し、拳を振りかざしながら
邪悪な笑みで顔が歪んでゆくイロンを前に、
おれは剣を引いて、静かに目を閉じる。


『 ようやく諦めたかい?
  ま、下等種族にしちゃあ、
  良く頑張った方だよォ、キミはァ…

  じゃ、そゆわけで、さよならァ…!


かくして、ジア・イロンの剛拳は
奴の勝ち誇った笑い声と共に、
おれ目掛けて振り下ろされたのだった。


~つづく~
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