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元騎士

ザラターン

[ザラターン]

キャラID
: ER367-139
種 族
: オーガ
性 別
: 男
職 業
: バトルマスター
レベル
: 133

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ザラターンの冒険日誌

2025-01-25 22:14:38.0 2025-01-28 22:54:09.0テーマ:その他

ビジター(1)(※ver7.1までのネタバレ注意)

オーグリード大陸、グレン領。
その南西部の、辺境も辺境。

旅空の下、赤土の荒野に吹く冷たい風が、
ここが雪化粧の山岳地帯に 
ほど近い場所である事を告げている。


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


その吹き抜ける風の中に、
ひとひらの雪が混じっているのを見つけて、
寝転がったまま片手をかざし、
ぼけっと それを目で追いかけたのだが…
すぐに見失ってしまった。


『 あ…


自然と 小さな ため息がこぼれおちた。
かざしていた己の腕を枕に戻し、
ゆっくりと目を閉じる。


おれの名はザラターン。
オーガのしがない冒険者。

なのだが…


( 最近、なんだか 
  やる気が出ない…気がする…



☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


厄介なのは、その『やる気が出ない理由』が
自分でも良く解ってない事だ。


( スランプ…とは、少し違うよな…


…しばらく前に、
レンダーシア大陸の内海にある
エテーネ王国で催された
【 お披露目式 】という
式典を見物して帰って来てからというもの…

情け無い事に、おれは
ずっと…こんな体たらくであった。


別に、式典で何か特別な事が
あったワケではない。
ないはずなのだが…


( ……


…鞄から何気なく、
『記念品に』とエテーネ王国で貰った
砂時計を取り出して、太陽に透かす。

キラキラと輝きながら流れ落ちる砂を眺めていると…ふと…謂れのない『焦燥感のようなモノ』に
駆られる気がしてきた。

だが… 

自分が一体何故、そんな気持ちになるのか。
己自身が、全く理解できないのだ。
こんな感覚は、これまで生きてきて、
多分初めてのものである。


( 何だってんだ、この気持ちは…

  おれは何かをしなきゃいけない…
  しなきゃいけない気はするんだが…!

  でも何をすべきなのかさっぱりわからん…
  なんっか…モヤモヤする…!


…考えても、考えても…答は出そうに無い。

砂時計をいそいそと鞄に戻し、
再び寝転んで空を眺めて
本日何度目かの ため息をついていると…


『 ……さん…!


☆   ☆   ☆ ☆   ☆   ☆


『 ザラさんってばッ!!


いつの間にか、近くに来て我が顔を覗き込んでいた
仲間のウェディ…吟遊詩人のエスタータ…と
目が合って、ギョッとなる。


『 ぅわっ!いたのか、
  エスタータ!

『 もーーッ!
  さっきから呼んでんじゃん。
  休憩中だからって、気ィ抜きすぎ!


もし近づいて来てたのが魔物なら
死んじゃってたよ、と、眉間に皺寄せ、
両手を突き出してダークパンサーらしき
威嚇のポーズを決める吟遊詩人に、
苦笑いで頭を下げる。

…いや、冗談では無く、まったくその通り。
こんな有様では、冒険者失格もいいとこだ。


『 悪い悪い、しっかりしなきゃな…!
  おし、気合いを入れ直すッ!

『 うむッ!

  そだ、ご飯作ったよ。
  さっきの依頼で寄った集落でさ、
  野菜いっぱい頂いちゃったから、
  保存食袋の腸詰めと一緒に煮込んだった!

『 ポトフか!そりゃ良いな。

『 ありがたいよね。
  こんな旅の空で新鮮な野菜
  食べられんの!


エスタータの先導で歩き出す。
話しながら、おれはようやく、今
己が空腹であることを自覚し初めていた。
やれやれ、何は無くともハラは減る、か。


( 本当、しっかりしなきゃな…


☆   ☆   ☆ ☆    ☆    ☆


河原に設営した簡易のキャンプ地に戻ると、
もう一人の仲間…魔族の魔法使いツキモリ…
が腕を組み、双眸光らせ、
首を長くしながら鍋の番をしていた。


『 遅いぞ。僕のカブが
  煮詰まるだろうが。

『 わ、悪い。待たせた。
  好きなんだな、カブ…

『 さあ、食お!
  食べて元気だそっ!
  何せ、今度の あたしらの目的地は…
  果ての大地!


 『異世界』なんだからっ!



~つづく~
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