【バズズ・間章】
物語、【悪霊の神々】に登場する三柱の大悪魔。
【赤の巨人・アトラス】
【紫の魔神・バズズ】
【大悪魔・ベリアル】
陸亀旅団の面々は、一月ほど前、その中のバズズ、アトラスに初めて挑み、そして無惨にも敗北した。
僧侶を本職としていた古参の団員が、
諸事情につき、あまり一緒に冒険できなくなったので、
その穴を埋めるべく、おれがニワカ僧侶として戦い始めた頃の話。
バズズに負けて大悪魔の実力を知り
アトラスに瞬殺され、僧侶としての、己の無力を知った。
このまま、実力のある僧侶が居ないままならば、旅団は、これ以降の強敵に、太刀打ちできなくなってしまうだろう。
ならば、団長である自分が、皆を守る癒し手となろう。
皆が憂い無く全力で戦えるよう、盤石の支えとなろう。
そう思い、おれは本格的に僧侶の修行を始めたのだった。
思えば、はじめの頃は、後悔ばかりしていたような気がする。
誰かが僧侶さえやってくれれば、おれは遺憾なく戦士としての実力を発揮できるのに、と。
重さの上級練金を施した、プラチナグリーブ。
入荷初日に無理して買った、グレイトアックス。
そして、修練の果てに修得したやいばくだきの技。
まがりなりにも、それらは、おれが戦士を生業として生きてきた証。
ほかの冒険者達がよく話していた。
【戦士】は最近、強くなった。
もはや、強敵には欠かすことのできない戦力になった、と。
戦士暗黒の時代でもオノを手放さなかったおれとしては、
実に喜ばしいことである。
だが、おれが戦士をやるとなれば、どうしても別に癒し手が必要になる。
しかし、我が旅団には、まだ優秀な癒し手などいない。
そんなジレンマー・・・
しかし、僧侶の修行を経て
様々な出会いを経て
そして、多くの戦いを経て
おれは次第に、戦士への執着が、薄れていくのを感じていた。
僧侶は、難しいが、やりがいがある。
元来、高火力で押し切る戦いを好まない自分には、存外向いているのではないかと思えた。
今日までで、
おれは修行を続け、盾の扱いを極めた。
スティックの扱いはまだ改善の余地はあるが、奴らとの決戦には申し分ない程にはなったと自負している。
買い揃えた装備品も、いつしか戦士の装備の総額を上回っていた。
強力な棍。
呪文の発動を大きく早める練金のついた、グローブとスティック。
対バズズ用の、耐性練金が施された羽衣。
そして、ブレスを大きく軽減する盾。
そして何より
多くの人々に同行して学んだ、幾多の死闘がー・・・
それらの戦いを、僧侶として乗り越えてきたという事実が、
おれの背を大きく後押ししてくれる。
迷いはもう無い。
今はオノを置き、スティックをとって前進しよう。
決戦の時だ。
今度こそ、大悪魔達を、倒す。
あの日、敗れたメンバーで。
~~~つづく~~~