【バズズ・第3章】
大悪魔達に破れ、一月以上。
この日のために修練を積んできたのは、何もおれ一人だけではない。
我が相棒、 【副長アストレイ】
団最強の彼は、まんべんなく、すべての職を鍛え、唯一の懸念であった、
基礎体力(HPパッシブ)を、現状での限界まで高めてきた。
旅団を識る者、【古参の盟友ドウ】
後進の指導で忙しい中も、
武闘家として更なる修行を積んできてもらった。
また、ツメと、攻撃力減退の練金を施した腕装備を新調した。
小さな冥獣、 【切り込み隊長カタキラウワ】
盗賊から、武闘家へと転身。ツメを極める。
そのさなか、去りゆく友人から託された、【拳聖セット】の装備を着られるようになりたいがために、猛特訓を行った。
対アトラス。
奴は、数日前にすでに2度、このメンバーで討伐している。
もはや、必要以上に恐れるべき相手ではない。
一月前は、開幕で、皆、通路内に閉じこめられ、一網打尽にされた。
その苦い経験を胸に、後衛はまず、時計回りに移動する。
それだけで、随分と余裕が生まれる。
今回も難なく勝利することができた。
戦利品:ロンダルキアのおいしい水×3
対ベリアル
こちらも、すでに別PTにて、三度、撃退している。
個人的には、三柱の大悪魔達の中で、もっとも御しやすい相手なのではないかと思っている。
怒り時に使用する【ベホマ】の使用を、一度許してしまったのが不覚だが、戦闘が大きく長引いただけで、特に危険なく勝利をおさめることができた。
戦利品:ビタミンウォーター×3
そしてー・・・
バズズ。
あの日破れて以来、お前とは一度も戦ってはいない。
お前専用にあつらえた装備の、【みずのはごろも】上下。
ドレスアップはしてないままだ。
いつか見た物語では、
救世の勇者達は、この羽衣を纏ってお前と戦った。
この戦いに関してだけは、
羽衣のドレスアップは野暮。
(↑ただのアホなコダワリである。)
ついでに言えば、お前の高みにたどり着くその日のために、
おれは今日まで一切、【ひらめきのゆびわ】の合成は行わなかったぞ。
(↑こちらも、願掛けのようなものだ。)
さあ、決着をつけようか、バズズ。
かくして、戦いの火蓋は、切って落とされる。
開幕のツインクローで、一人落とされた。
必死に立て直しながら、痛感する。
やはり、こいつだけは、他の二柱の大悪魔とは格が違うように感じる。
重さこそアトラス、ベリアルに劣るが、
攻撃は、多彩にして苛烈。
風、氷、光の属性攻撃を操り、
即死、封印、眠り等の絡め手も容赦なく使ってくる。
前回は、副長のマホトーン状態に気づくのが遅れたせいで、戦線を崩してしまったので、今回は、仲間の状態に、細心の注意を払う。
マホリー、そしてザメハ。
危惧したドウさんが警告を発する前に、
今回は素早く治療できていた。
今回は、確かな手応えを感じる。
だが、バズズは怯まない。
絶え間無き猛攻で、再び戦線は崩壊しかける。
不意に、蘇生役の一人、アストさんが倒された。
そして、バズズは、返すカタナ【ツインクロー】でカタキさんを狙う。
絶体絶命ー・・・。
ここで2名倒れてしまっては、PTを立て直すのは難しくなるだろう。
場に走る緊張・・・
だが、カタキさんは、なんとこの攻撃を堪えきった。
首の皮一枚でつないでいる状況ではあるが、
助かったことには変わりない。
もし、彼女の装備が【拳聖】でなかったなら、おそらくはー・・・
副長を蘇生しつつ、おれは彼女の友人に感謝した。
素早く戦線を立て直し、我々は反撃に移る。
ほどなくして、
ついに紫魔神バズズの、断末魔が響きわたった。
我々はついに、奴に勝つことができたのだ。
~~~つづく~~~