前回の続きです。
日夜熱い戦いが繰り広げられるアラハギーロのモンスター格闘場。
その舞台に上がった我が魔軍。
モーモン、スライムナイト、パペットマンの3匹。
順調に勝利を重ねていた彼らも突如現れた大いなる力を前にして、手も足も出ないまま初めての敗北を喫してしまいました。
その日を境に、彼らは心機一転。
格闘場から遠く離れたモンスター酒場でのアルバイトを増やし、忙しくも充実した日々を過ごしていました。
そんな3匹の前に新たな仲間が現れます。
哲学する応援団長・たけやりへい
彼の名前はアボカドといいます。
イナミノ街道では仲間と一緒に旅人を襲う毎日だったのですが、
次々と『破竹の一撃』でその身を酷使し、散っていく仲間。
そんな特攻を止めるどころか、『おうえん』する仲間たちの姿を見て、
「自分は一体なんのために生まれてきたのだろう」
などと考え込むようになってしまいました。
一緒に飲むと面倒なタイプです。
そんな彼はもちろん、『破竹の一撃』を使えません。
『おうえん』、『ザオラル』、『スクルト』、『バイシオン』といったスキルで仲間をサポートしつつ、弱った相手に『狼牙突き』でとどめを刺します。
しかし、彼の本当の力は別にあります。
その両手に持った『セラフィムの槍』は敵を穿つ矛ではありません。
開幕『天使の守り』と『武器ガード』を狙った自己保身のための盾なのです。
腰にも開幕『天使の守り』が期待できる『輝石のベルト』を装備しています。
首にはもちろん『銀のロザリオ』
「もっといい合成は付けれないのか」などと彼は文句を言いますが、その件に関してはヴェリナード商業組合へ問い合わせて欲しいですね。
これらの装備に加えて、ユニークスキルである『たけやり介抱』の奥義『オートメンテナンス』も習得しています。
追加スキルには『みのまもりアップ』
『致死時たまに生き残る』という能力によって彼の生存率は極めて高くなっています。
いささか過剰ですね。
過ごしてきた環境のせいか、生来のものなのか。
彼の生への執着は我が魔軍の中でも郡を抜いて強いのです。
そんな彼の強い意志に期待して、リーダーとしてバトルロードに参戦してもらいました。
今回レギュラーから外れたのはパペットマン。
「ランクアップ試験になれば俺の力が必要になるぜ」と不気味な笑みを浮かべながらの自宅待機です。
貯まった出場権を一気に消化して破竹の勢いで勝利を重ねる一行。
自信を失っていたモーモンとスライムナイトは「俺たちはまだやれるんだ」とその瞳に光を取り戻しました。
Cランクへのランクアップ試験参加権を得た一行は一度酒場へ戻り、祝勝会を開きました。
酔って上機嫌になるモーモンとスライムナイト。
しかし、その横のたけやりへいはどこか不機嫌そうです。
事件が起きるのは必然だったのかもしれません。
酔っ払って剣を振り回していたスライムナイトの身体がたけやりへいの肩に触れた瞬間、
『セラフィムの槍』が酒臭い空気を切り、スライムナイトの剣を叩き落としました。
凍りつく酒場。
たけやりへいは抱えていてた不満を爆発させます。
せっかく『おうえん』してもスライムナイトは単体攻撃しかできません。
奥義である『スラ・ブレイク』は強力ではありますが、二段攻撃であるためテンションアップの恩恵を充分に活かすことができないのです。
たけやりへいとしては、もっと、こう、ガーッと範囲攻撃して欲しいわけです。
「これだから脳筋は……」
そんなたけやりへいの言葉にスライムナイトは酷く傷付きます。
たけやりへいはもうスライムナイトとは組まないとそっぽを向きます。
スライムナイトは俯いてしまったまま言葉を発することができません。
そんな2匹が酒場の雰囲気を壊していることを敏感に察知したモーモンは、
そそくさとその場を離れて他人のフリをします。
彼らの様子を知ってか知らずか、庭先で星空を見つめるパペットマン。
そして、酒場の入り口で事の成り行きを見守る1つの影。
果たして彼らはこの不協和音を解決し、見事ランクアップすることができるのでしょうか。
最後にレギュラーの栄冠を勝ち取るのは誰だ!