紺碧のアカンティス、黄金にクルットル、深翠のフードデリたちが提示した試練とやらを攻略する。白灰とあわせて星巡りを終わらせたマメミムはようやく敵の本拠地たる聖天舎への出入りを許される。儀式の前にみそぎを済ませろと、居合わせた初代勇者アシュレイと一緒に泉にいけば、なにやらどろどろした汚物がまきちらかされて、ごりら体型をした天使長を名乗る羽つき曰く
「人助けは勇者の本分だろう」
聞いた瞬間、人助けは天使の本分だろうと返しておく。勇者は人を守ろうとする思いをチカラに変える職業で、人助けをするかどうかは単なる性格だ。つまり羽つきは長ですら天使のなんたるかを知らず、彼ら自身は人助けなんかしないのだという性格すらも見えてくる。なるほど人助けに理由はいらないといったカブを試練から落とそうとするわけだ。
神代の遺構へ。
みかけだおしの都市フォーリオンの下に蓋をして隠していた旧都市の遺構がある。毒とモンスターがあふれる世界の上で暮らすことに羽つきは疑問を感じてない。じつは天使も天星郷もとっくの昔にほろんでいて、姿をまねた羽つきが後から住み着いたと言われればよほど納得するありさまだ。
汚物の泉のおおもとにあったルティアナ源泉でもモンスターが暴れていて、さっくり倒すとどくどく脈打つ石のかたまりが手に入る。ここでユーちゃんマジバッジ、これとおなじものが同僚アルビデの手の甲にあったという謎の新情報。遺構の奥にそいつの死体があるのを発見する。
名探偵マメミムのたれ灰太猫の頭脳によればこの状況、しんかの儀が行われるのに乗じて「しんかの儀を強行しようとしている誰か」が存在する。妨害すれば抵抗される。あほうがよろこんで穴に落ちるようにすすめるのがただしい陰謀というものだ。あやしいのは汚物の泉に細工ができそうな三人。ごりら長とヘルナントカ、そしてユーちゃんマジバッジだろうか。
儀式の前日、宿屋に押し込められた英雄候補たちからこぞって「君は神様にならなくてもいいんじゃないか」と声をかけられて、ああこのひとたちやっぱりだまされてるだけでいいひとなんだと確信する。タマシイと後悔を人質に取られている彼らに選択肢は存在しない。羽つきどもが求めているのはルティアナ砲を撃てる兵器でしかないから、そんなものになる必要はないと警告してくれる。もしもできることならば、何百年も何千年も虜囚の身でありながら他人の心配をしてしまう彼らを解放してあげられないものか。
一夜が明けて、ねぼう&遅刻する。
英雄候補たちはわざわざマメミムを起こそうとはしなかった。別に彼女が神様にならなくてもいいだろうと考えたか、そもそもあやしい儀式を受けさせないようにしたかはわからない。ここでマメミム考える。もしもこれがドラクエでなかったら、ここからの選択肢で「誰がマメミムに儀式を受けさせようとしているか」を誤ればバッドエンドが待ってる展開だ。
門の前で悪罵を連ねてでも妨害を試みたピュトスに比べれば、なんとしても儀式の場にマメミムを引き出そうとしている連中によほど悪意があるだろう。アルビデの事件で儀式の中止を進言したというマジバッジの言葉が正しいなら、あやしいのはごりら長とヘルナントカが候補になる。フォステイルの姿がないというのも、この状況があやしいよねという疑問を確信に変える。
はたして儀式は失敗して、遅刻したマメミムと行方をくらませたフォステイル以外の全員が悪神とやらになる。後悔や負の感情が肥大して暴走した姿は大魔瘴期に理性を失った魔族たちのそれと変わらないけれど、雑な儀式を強行したあげくに自分たちが捕らえた英雄候補たちを指して、平然と「悪神」呼ばわりできる羽つきどもの神経が理解できぬ。
英雄と呼ばれる彼らはただ哀れだ。
一片の悔いも残さず生涯を過ごした者などない。魂を囚われて成仏することを許されず、後悔を忘れる機会が与えられることもなく数百年も数千年も耐えつづけ、果ては悪神呼ばわりされて討伐されねばならぬ。彼らが愛したはずのアストルティアを彼らの手から守るために、討伐しないという選択肢は存在しない。
王者も三闘士も歌姫も、勇者もこぞって彼らの国を滅ぼそうと去っていくなかで、ラダ・ガートだけは天星郷を滅ぼそうと呼びかけてきたのはここまできて正義漢をやめられない彼らしい。とはいえこんなとっくに滅んだハリボテを壊すために、ラダ・ガートともあろうものが誰かに利用されて走狗になるなどあってはならぬ。盾島の守りが崩れて役目を解放されたガミルゴが、なんでお前がいないんだと訝る前に会いにいかせてやりたいものだ。
囚われの英雄たちを助けよう。どうやらそれが天星郷に関わる理由になりそうだ。