ただ知るは賢にあらず
世界のすべてを その目で見よ
ドルワーム水晶宮、賢者の学院にはそのような言葉が躍っている。七不思議を追う旅人たちにとっては、胸に刻んでおくべき言葉かもしれない。
ここに足が向いたのは、七不思議研究の第一人者がドルワームにいると聞いたためである。相変わらず、小柄なドワーフたちには不釣り合いなほど巨大な宮殿だが、以前に比べ、出入りする旅人の数が増えたように思える。これも七不思議効果だろうか。
出迎えてくれたのは研究員ドクチョルとクティ。さっそく七不思議について尋ねてみる。
七不思議とは、下記の七つ。さあ、一人で考えよう。
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「吹雪に微笑む雪女」
雪と言えばラギかランドンか。素材集めのついでにのぞいてみるのもいいかもしれない。
「深き森の幽霊列車」
これは簡単だ。夢幻の森に今は使われていない鉄道の線路がある。おそらく現場はそこだろう。
「エルトナの生き人形」
……しまった。シグルドたちを撮影しておくべきだったか。
それにしても、人形に纏わる事件が多すぎて、もはや動く程度のことでは不思議とすら思えなくなってきた。
第一、プクリポと何が違うのだ?
「海上に浮かぶ夢幻郷」
……海とだけ言われても、少々範囲が広すぎる。これは後回しにしよう。
「プクランドの首長竜」
何でも釣りをしていたら遠くの湖面に見えたとか。
プクランドの湖でそれだけの規模を持つものと言えば……
オルフェア地方西からリンクル地方にかけての湖が怪しいか。
「砂塵にうごめく大巨人」
砂漠と言えばドワチャッカだろうか。
蜃気楼現象の一種ではないかと思うが、折を見てゴブル砂漠にでも行ってみよう。
「ドワチャッカの謎の飛行物体」
鳥か気球か、あるいは古代の飛行機械か。星がきれいに見える場所で発見の声が上がったそうだが、頭上だけあって観察も難しそうである。
場所は見当もつかないが……そういえば塩湖で見た夜景はなかなかのものだった。素材もなかなかのものが採れたことだし、試しに行ってみようか。
聞けた話はこんなところだった。
ひとまず、場所が確定している謎から追ってみることにしよう。
ところで……
水晶宮は広い。そして転移装置を使った移動も少々複雑だ。
私は道に迷い……もとい、一応は王子に目通りをしておこうと思い、騎士団の詰所に顔を出した。
ラミザ王子は武芸にも知識にも別段、秀でたところがなく、かつては王族としての威厳に欠ける凡才とすら評されていた人物だが、天魔の一件以来、周囲からの信頼を集めている。
このたびも、突然の来訪にもかかわらず丁重で落ち着いた対応をしてくれたのだが、一つ、気になることがある。
以前は気づかなかったのだが、王子……そのお召し物はもしや、王者のマントでは……
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貴方も時の王者だったのか!
……そういえばドルワーム王家の者は魔障と太陽の石を制御する不思議な力を備えている一族であるからして、神話の戦いに関わっていたとしても不思議ではない。
この王子、凡才どころか、かなりの可能性を秘めた逸材かもしれない……