潮騒と潮風の中、二つのペンダントが宙を舞う。ヴェリナード領西、ミレナ海岸に不思議な光景が広がっていた。
メルエは、かわいそうな少女だった。
彼女には何も、身を犠牲にするほどの理由は無かったのだ。身体は不自由だとしても、それなりに生きていくことはできたかもしれないのだ。
ただ絶望に打ちひしがれた彼女を、運悪くあの少年が見つけてしまった。それだけのことが、彼女の運命を変えてしまった。
今、再会した二つの魂が何を思うのか。それは誰にもわからない。
せめて、消えゆく光の先、青空にそびえる雲の果てに、魂の安らぎが待っていることを祈るばかりである。
メルエの縁者であるサムエル氏は、これでひとまずの決着がついた、と、肩の荷が下りた表情だった。
コゼットはまたも思い悩むような表情である。そしてぽつりと、こうつぶやいた。
「私も、何かしなきゃ……」
ランディ、テティ。そしてサムエル氏。彼らは消えた人々のために自分のできる限りのことをやってみせた。残されたものができることといえば、それくらいのものだ。
そして自分も、と言うコゼットの瞳には決意の色が浮かんでいた。
「ミラージュさん、私をお姉ちゃんの消えた場所に連れて行って!」
そして、このような成り行きとなった。
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私が懇意にしている陸亀旅団の団長、オーガのZ氏と鬼の副長、プクリポのAST氏。
災厄の王との戦いをきっかけに共闘することの多くなった両ウェディ、こぞうバックラーのMR氏と、今回は二刀流で参戦のMM氏。
同じく災厄の王と共に戦ったドワーフのMSB氏と、彼女の良きパートナーであるプクリポのKT氏。
そして一際異彩を放つ逞しい肉体を見せつけるのは、私と同じ魔法戦士を本業とするドワーフ、BDG氏である。
闇の溢る世界に赴くにあたって、私を含めて8人の旅人が勢ぞろいした。
聞けば、彼らもそれぞれにコゼットから依頼されていたのだという。がけっぷち村で姉を待つ少女の人脈は意外なほど広い。
このメンバーが集まれば粛々と任務遂行などという話にはならない。神話の終焉を見届ける道行きは、なんともにぎやかな道中になった。