また別の日。
ザラターン殿、モモ殿、そしてモモ殿の友人であるL氏と共にピラミッドを探索。
辛うじて第5層を突破し、さあお開きかというタイミングでモモ殿が一枚のカードを取り出した。
赤竜ドラゴンガイア。
かくして宴は続行。悪霊に続き初挑戦の敵との戦いとなった。
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とはいえ、私以外の3人は何度か挑戦済みの相手。特に初めて組むことになったL氏は、賢者として限界まで究めているほどの猛者。
私は相変わらず充実の援護を受け、魔法使いとして後方から炎弾を打ち込むだけの楽な仕事をさせてもらった。
L氏からもありがたくコインを提供していただき、2戦。危うい場面もあったものの勝利。肝心の竜玉は赤竜の握力に握りつぶされていたが、良い経験をさせてもらった。
L氏にはどこかでお返しをしたいものだ。運よくコインかカードが手に入ったなら、モモ殿から連絡を取ってもらうことにしよう。
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さらに別の日
私はジュレットで裁縫仕事をしていた。
フェンサーマントや奇術師の服といった高額依頼は貴重な収入源の一つである。
相変わらずマスターへの納品以外の仕事をしていない、不肖の弟子である私をマスター・ユービアは見放しもせず相手にしてくれる。
盟友α氏からの連絡を受け取ったのはそんな時である。以前も似たようなシチュエーションで連絡を受けたことがあるが、これも奇縁か。
そんなわけで、久しぶりにα氏のパーティと共闘することになった。懐かしい顔ぶれである。
催しごとに向けて仮装に余念のないE氏。そういえば以前会った際も伝説の「グランバニア王」の仮装をしていた。多芸な人物である。Z氏も相変らずチャーミングな仕草を周囲にふりまく。
そしてα氏も変わらぬ元気な姿を見せてくれて、何よりのことだ。
途中、入れ替わりで参戦したM氏も交え、いくつかの魔障の幻影を狩り取る。彼らの実力は折り紙付きだ。苦戦の気配すらなかった。
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経験豊富な冒険者との共闘は様々なことを教えてくれる。とりわけ印象深かったのは、猫島での御前試合において私と共にバトルマスターとして参戦したZ氏の戦いぶりだ。同じ職であるため、経験の差が如実に表れる。
むやみに接近して攻撃を誘発させてしまう私と違い、自分が狙われてるのを察知するや否や、無心の遠当てにより遠距離攻撃に徹するZ氏の戦い方は、おそらくセオリーなのだろうが、私にとっては新鮮だった。途中からその戦法を真似てみる。バトルマスターもなかなか奥が深い。
戦いの後、M氏から「盟友の誓い」の申し出があった。
彼とは出会ってからかなり経つのだが、すれ違いになることが多く、未だ盟友の誓いを交わしていなかった。晴れて誓いをかわし、盟友と呼べる仲となった。嬉しい限りだ。
人手の足りない時など、私程度の実力で良いならいつでも呼び出してもらいたいものである。
余談ながら、戦いの合間の雑談で、件のピラミッドが話題になった。
私はあそこに祀られたファラオ像を「犬」と認識していたが、M氏は「アザラシ」と認識していたらしい。
なるほど、アザラシ……そう見えなくもない。
かつて大陸を席巻したアザラシ文明……そんな想像を膨らますのも面白いものだ。
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そして最近。
私はチョッピ荒野で恐竜狩りに勤しんでいる。
噂によれば、各技能の専門家たちが研究に研究を重ね、ついには現状の限界と言われる技術の上限を取り払うことに成功したとか。
冒険者たちその技が公開される日も、そう遠くはないはずだ。
それをふまえて計算したところ、より一層の修練が必要ということが分かった。
最低でも剣、盾、フォースは限界まで極めたい。これは有用性に関係なく、私にとっての義務である。
戦士とバトルマスターの技能も、有用なものであれば極める必要があるだろう。
と、なれば最低でも「その日」までに魔法戦士、戦士、バトルマスターを限界まで鍛える必要がある。
欲を言えば魔法使い、賢者にレンジャーも鍛えたいが、どこまでやれるものか……
ま、できる限りのことはやっておくことにしよう。
年末年始は魔法戦士団の任務も一時休止。これを利用しない手は無い。
狩りに明け暮れる年越しになりそうである。