「そこの魔法戦士、下がれ!」
雄叫びと共に突進してきた戦士が、魔物に鋭い一撃を浴びせた。想定外の攻撃にさしもの魔物もひるんだようだった。
立ち上がった私が見たのは、扉から突入してくる冒険者たちと、それを手招きする少女の姿だった。
「ルコリア、危険だ。絶対に前に出るな!」
少女は頷き、両手を祈る形に組んだ。きつけ草を投げ入れた、あの少女だった。私はようやく事態を把握した。彼女が助けを呼んだのだ。
「しっかり」
と、僧侶らしき冒険者が私に手を当て、治癒の呪文を唱える。
「かたじけない」
傷が癒えると、私も再び戦闘に加わる。前方では戦士が大斧を振り回し、あの象人と互角以上にわたり合っているようだ。凄腕と言えた。
私はそれを見て剣を納め、背負っていた弓を構えた。前衛は彼に任す。狙いを定め、隙を窺う。
戦士の斬撃に、象人はたたらを踏んで後退する。そこが私の狙い目だった。
弦が弾ける音と共に、光条が闇を走った。