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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2014-09-22 23:14:03.0 テーマ:その他

なりきり冒険日誌~大空を飛ぶ(2)【ややネタバレ有】

 天を、食い破ろうというのだろうか。
 私の目の前で、一匹の竜が空を仰いで大顎を開いていた。
 その牙がひとたび噛みあわされれば巨岩さえ容易く砕け、その喉がひとたび動けば、ウェディや人間など、簡単に飲み込んでしまうだろう。
 だが、牙はもう、何も砕くことはできない。
 彼の喉に注がれるのは、気紛れに降り注ぐ雨水と、渇いた空気。
 骨の隙間を吹き抜ける風が笛の音のように鳴り響く。堂々たる姿を残したまま朽ちていく竜の残骸が今なお、在りし日の咆哮を轟かすかのようだった。

「こんな大きいのとは戦いたくないよね」

 とは、お供のエルフ、リルリラの感想だ。
 ここはグランゼドーラの南東、ドラクロン山地。またの名を飛竜の峰。
 上空には常に強い風が吹き荒れ、雲は渦を巻く。翼持つ者たちの鳴き声が、渦の向こうから聞こえてくる。

「お前の親戚たちにも困ったものだな、ソラ」

 頭をなでてやると、ドラゴンキッズのソーラドーラはこちらを見上げ、首をかしげた。  ソーラドーラが巨大な飛竜に変身したあの日、賢者ルシェンダは語った。怒りを買う恐れがある、と……

「ドラクロンには飛竜の住み家。その頂上には竜の長が住んでいる。飛竜の背に乗る者は全て、その長の許しを得て空を舞うのだ」

 だが私は知らぬこととはいえ、許可なくソラの背に乗ってしまった。

「竜の長は耳が早い。遅かれ早かれ、ことは知られるだろう」

 賢者は腕組みしてそう言った。
 竜とは誇り高い生き物だ。その長となればプライドの高さも一際だろう。

「機嫌を損ねればお主はもとより、既に許しを経た勇者の盟友たちにまで害が及ぶかもしれん。責任を取ってもらうぞ」

 そういうわけで、我々は竜の長に許しを請うべく、この山を訪れたというわけだ。
 一応、土産物としてヴェリナードの名産、女王様サブレを包んできたが、竜の口に合うかどうか。ソーラドーラは結構美味そうに食べるのだが。

「この大きさの口には、合わせようがないと思うよ?」

 ぺしぺしと古竜の顎を叩くエルフ。長がせめてコミュニケーションのとれるサイズであることを祈ろう。

 道中、顔を合わせるのはもちろん、死骸だけではない。
 ドラクロンは竜の楽園。右も左も竜ばかり。
 最も目を引くのが、鳥の巣のようなわらぶきと卵の組み合わせである。
「竜の巣か」
「ソラちゃんもこの中に入ってたのかな?」

 リルリラの細い指が卵の殻を撫でる。ソラはぼんやりとそれを眺めていた。隣では別のドラゴンキッズが我々の影に気づき、トコトコと身を隠した。
 ソラと初めて出会ったのは、ドラクロンの西、レビュール街道のはずれにある草原でのことだった。
 丘に囲まれ、街道から隔離されたその場所は、キングリザードにドラゴンキッズ、竜族だけが闊歩する奇妙な世界。
 ドラクロンを知るまで、竜の楽園といえば、私にとってその場所だった。

「あるいは、お前はここで生まれて、あの丘に引っ越していったのかもしれんな」

 またも仔竜は首をかしげた。
 ドラクロンの巣で生まれた竜が、渡り鳥のようにあの丘とこの山を季節によって行き来する。そんな姿を想像してみる。
 竜たちの営みが見えてくるようではないか。
 とはいえ、私は生物学者の類ではないし、竜の生態は学者にとっても謎が多い。
 真相は神のみぞ知る、か。

 休憩を終え、我々は再び頂上を目指す。
 風が強くなってきたようだった。 
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