引き続きモンスター格闘場にて。
Dランクに達し、景品のルーラストーンを受け取ったところでひと段落。各選手の闘いぶりを振り返ってみよう。
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まずは猫魔道のニャルベルト。初戦こそ取り乱したものの、まずまずの闘いぶりを見せてくれた。
ニャルプンテで敵を足止めし、眠らなかった敵をメラゾーマで狙い撃ち、もしくはイオナズンで全体を一網打尽にする。ニャルプンテを狙ったタイミングで使えるという点で、リーダーとしても及第点といえるだろう。
ドラゴンキッズのソーラドーラは、攻撃役としてはもちろんのこと、途中で手に入れたバッジとコドラゴラムのおかげでなかなかの重さ発揮。ニャルベルトを守る盾役を演じてくれた。長期戦になるとやや息切れするところが今後の課題だろうか。
ホイミスライムのミスランは期待通り、回復役を担ってくれている。さらなる成長に期待できそうだ。
そして頼りになる仲間はもう一匹。
バトルロードでは四匹目の出場選手としてゲストを迎えるのが習慣となっている。
単に四匹で戦うというだけであれば、自分の魔物を四匹連れて行ってもいいはずだが、あえてそうしなかった点にカレヴァン氏の管理人としての手腕が伺える。
熟練の魔物使いでもなければ、冒険者の抱えている魔物は数匹程度。知らない魔物の方が多いという者がほとんどだろう。かくいう私もそういう一人で、興味のある魔物は何匹かいるものの、育てる余裕までは無いというのが実情だ。
バトルロードではそうした魔物をゲストとして招き、戦いぶりを堪能することができる。その中で特に気に入ったものがあれば、自分でも育ててみようという気持ちになるだろう。
私の場合、注目しているのはキラーマシン。
ロストアタックを使えない魔物たちの中にあって一際輝くのがコードゼロ。敵の補助呪文と怒りを一瞬にして掻き消す匠の技である。
ボミオスラッシュで呪いを付加していたのはバッジかベルトの効果だろうか。これにもかなり助けられた。ボミオスだけにノロイとは、育て親はなかなかのセンスの持ち主のようだ。
回復・蘇生を扱う魔物も全般的に役に立つ。やはり蘇生役が二匹いる場合の安定感は特筆すべきものだ。もっとも、いつもそういう魔物をゲストに招けるとは限らないので効率面から言えば自前で蘇生役を二名選出し、ゲストにアタッカーを招く方が確実かもしれない。
こうして様々な魔物に興味を持ってもらい、育成を促し、結果、バトルロードもより賑わうというわけだ。カレヴァン氏の頭脳冴えわたる采配である。
カレヴァン氏といえば、彼が対戦相手として用意した各種の魔物たちも、かなり多種多様なものである。
彼らのチーム名と構成を見るのが、私にとっては新しい楽しみとなってくれた。
「ロンダルキア・ナイトメアーズ」など、まさに過去の伝説に聞く悪夢がよみがえったような面々で、思わず声を上げてしまった。
中にはとんでもない大物までいる。特に、「異界の魔王のしもべたち」……。
ニャルベルトたちはかなりの苦戦を強いられていた。むしろ、よく勝てたものだと思う。
カレヴァン氏も、一体どこからあんな魔物をスカウトしてきたのやら。管理人の名は伊達ではないらしい。
「気前のいい出資者がついてますからね」
ほう、それは気になる。一体どんなもの好きだろうか。尋ねてみると、氏は私の後方を顎で示した。
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……ノーコメントとさせて頂こう。
ところで、敵チームに名前があるなら、自分のチームにも名前を付けたいと思うのは私だけだろうか?
かつて読んだ物語では、トロデーンの近衛兵が自分のモンスター・チームに名前を付けていたはずである。
チーム名は伝える書物によって色々と違うのだが、私の読んだものでは「ザ・モンスターズ」というストレートな名前だった。
誰に見てもらえるわけでもない自己満足にすぎないのだが、案外、そういう些細なことがチームへの愛着を倍増させてくれたりする。
カレヴァン氏には是非、実現を検討していただきたいものである。