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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2014-12-21 19:25:19.0 テーマ:その他

なりきり冒険日誌~かれはロボット(5)【道具使いクエスト、ネタバレ有】

 地面が震える。大量の足音。怒号、叫喚の声。ラニアッカの大洞穴に戦いの音が充満した。

「我々は動きがあるまで戦闘態勢のまま待機。いいな!」
「待ってください、ミスタ・ミラージュ。様子がおかしいようです」

 ジスカルドがモノアイを光らせて持ち場を飛び出した。素早く周囲に赤い光を放つ。サーチアイ。彼は一瞬にして周囲の状況を把握することができる。

「包囲網が不完全です。D地点がガラ空きです。敵が逃げます!」
「来い!」

 私は言うが早いが駆けだしていた。ジスカルドも後に続く。

「我々で現場に向かう。手近な魔法戦士たちも同じように急行しているはずだ」
「足音から判断するに、そのようです。しかしミスタ・ミラージュ。数が足りません」

 走りながらジスカルドが目を点滅させる。

「何故、予定通りの用意網が敷かれていなかったのでしょう」

 今回の包囲網にも彼が作戦を提供してくれた。確かに、彼の作戦通りならば、逃げ道など一つもなかった。
 だが、現にこうして逃げられている。その理由を私は知っていた。ジスカルドを振り返り、私は皮肉な笑みを浮かべた。

「私が君の作戦を変更して提出した。君の完璧な包囲作戦をな」

 キラーマシーンの赤い瞳が攻撃的な輝きを宿し、私を睨みつけた。

「何故です。もしプライドが理由だというなら、それは人命を軽視した方針に思えます」

 初めて、彼の言葉に感情が宿った気がした。私の思い込みだろうか?

「そうなるかどうかはこれからの働き次第だ。ジスカルド、敵が来るぞ!」

 私は剣の先に光の理力を宿し、殺到してくる敵に備えた。ジスカルドも、この期に及んで議論は仕掛けない。
 ボウガンを引き絞ると、大洞穴の闇にスタンアローが吸い込まれる。
 こうして、戦いが始まった。





 剣閃が闇を裂き、光の束が魔を薙ぎ払う。最後の一体が地に落ちると同時に、ジスカルドのサーチアイが周囲を索敵する。彼は頷くと敵の全滅を宣言した。

「どうやら、始末がついたな」
「はい、ミスタ・ミラージュ」

 剣を鞘に納める。金属がこすれる冷たい音が洞穴にキンと鳴り響き、戦いの熱を冷ましていった。
 敵の殲滅には成功し、軽傷者数名、重傷及び死亡者はゼロ。戦果は上々と言えた。

「しかし、敵の抵抗が想定より微弱だったことに助けられた、というべきでしょう。もし想定通りの戦力を敵が有していたなら、これだけの数で防ぐことは不可能だったはずです」

 ギロリとロボットの目が私を睨みつけた。機械でも怒ることがあるのだろうか。それとも、見る側の感情でそのように見えるだけなのか……。
 ま、どちらでもいい。私は涼しい顔でそれを受け流した。

「悪いが、ジスカルド。想定通りだよ」

 キラーマシンの目が困惑したように点滅した。私は目を合わせずに先を続ける。

「逃げ道はわざと残した。敵が逃げるようにな」

 いわば心理的誘導である。逃げ道を防がれた者は決死の抵抗に出るかもしれない。そうなれば命がけの戦いとなるだろう。どんな弱者であれ、必死になったものは手強い。窮鼠は猫を噛むものだ。

「一方、逃げ腰になった者は戦うことを忘れる。そこに奇襲をかければ、結果はご覧のとおりというわけだ。君には理解しづらいことだろうが……」

 なるほど、とジスカルドはようやく納得したらしく、モノアイの光を弱めた。 

「しかし、何故作戦の変更を私に伝えて頂けなかったのでしょうか」

 しかも、主戦場から離れた場所に配置されたせいで、作戦変更に気づくこともできなかった。いかにジスカルドが優れたロボットでも、全知全能とはいかない、というわけだ
 再びモノアイが瞬きを繰り返す。おそらく情報を処理する時の機械的反応なのだろうが、こうしてみると表情に見えなくもない。奇妙な愛嬌がある。
 それだけに、次の話を切り出すのは気が重かった。

「心当たりがあるんじゃあないのか、R・ジスカルド」

 と、私は大空洞の中心部を顎で示した。

「彼らだよ」

 そこには拍子抜けした表情で立ち尽くす冒険者の一団があった。例によって道具使いらしい姿も見える。だが得物は鞘に包まれたまま、鎧には埃一つついていない。彼らの出番は、今回は無かったようだ。

「今回は予定通りとはいかなかったようだな、R・ジスカルド」

 私はキラーマシーンを振り返り、言葉を叩きつけた。

「いや、ドクター・デルクロアと呼ぶべきか」

 言葉が震動となって、青い装甲の中を反射した。
 モノ・アイに暗い色が浮かぶ。
 鋼鉄の塊が、冷たい空気を背負い、そこに佇んでいた。
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