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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2014-12-24 23:16:45.0 2014-12-24 23:18:29.0テーマ:その他

なりきり冒険日誌~かれはロボット(10_ラスト)【道具使いクエスト、ネタバレ有】

 一つ目がぐらりと揺れて巨体が膝をつく。敵将、確かゴルゴン座とか呼ばれていた巨漢は、薬で強化されていることを差し引いても、なかなかの猛者だった。
 そしてそれ以上に、軍勢を率いる将らしく重厚な態度を崩さない、威風堂々たる偉丈夫だった。
 博士を人質として利用することもなく正々堂々と戦い、また負けた後は潔く敗北を認めた上で、優秀な道具使いを生み出した博士を改めて仲間に誘うなど、巨体に見合った器の大きさを見せてくれた。
 魔族にもこうした男がいるとは……敵にしておくには惜しい人物である。
 だがデルクロアはその誘いを断り、ゴルゴン座の男は捨て台詞と共に魔界へと去っていった。

「これで吾輩の正しさも証明された。お前たちは素晴らしい道具であったぞ」

 別段、彼の生み出した道具使いだからこそ勝てた、というわけでもないのだが、したり顔の博士だった。
 ゴルゴン座の去っていった先が大魔王の元なのか、それとも別の場所なのか、そのあたりの事情は非常に気になるところだが……

 ……今はそれ以上に気になることがある。

 かつてジルカルドは言った。第一条を守るために第二条を放棄することができる、と。
 もし、我々を守るため、彼が嘘をついたのだとしたら……。
 大急ぎで洞窟を出る。と、そこには魔法戦士団の姿があった。魔族の軍勢を追って進軍してきたに違いない。周囲には物言わぬ屍となった魔物の群れが倒れ伏していた。
 私は人ごみの中に特徴的なキラーマシーンのブルーメタルを探した。焦燥がヒレの先を走る。人に埋もれるような顔ではないはずだ!

「ジスカルド、返事をしろ!」
「はい、パートナー・ミラージュ」

 と、あっさりとした声が聞こえてきた。
 振り返ると、脚の一本を失い、岩肌に身を持たせたジスカルドの姿があった。
 赤い瞳が私を見つめる。私は所在なく頭を掻く。

「まったく、無茶をする奴だ」

 私はあえて難しい表情を浮かべて見せた。

「計算通りです」
「こんなにボロボロで、よく言う」

 近寄ると、装甲は欠け、瞳の輝きも弱弱しい。一歩間違えば大破していたことは一目瞭然だった。

「……無茶をしたな」

 もう一度、深々と私は呟いた。やはり、とも思った。

「……だが、君の献身的な働きが無ければ、我々は壊滅していたかもしれん。礼を言っておくべきかな」

 私は傍らに屈みこみ、痛々しい脚部に手を当てた。手を上げて道具使いを呼ぶ。彼らも疲れ果てていたに違いないが、すぐさま修理にかかってくれた。

「礼など不要です、パートナー・ミラージュ。機械として当然のことをしたまでです」

 患部を見せるため、少し後ろにのけぞった姿勢が、まるで胸を張るように見えた。取り澄ました言葉に、私は思わず吹きだそうになった。
 人として当然、というのは少々気取りすぎな台詞だが、機械として当然、とはな。

「何がおかしいのでしょう、パートナー・ミラージュ」

 笑みを浮かべながら、私はジスカルドの丸い頭を撫でた。

「君は君が思っているよりずっとユーモラスな存在だぞ、ジスカルド。ユーモア、わかるか?」
「人間的、という意味であれば、それは私から最もかけ離れた言葉です。パートナー・ミラージュ」

 真面目くさった物言いに、またも笑みが込みあげた。
 なるほど、彼は正しい。まさしく機械的であるがゆえに、彼は何よりもユーモラスなのだ。

「事件は解決したようですね」

 と、洞窟から出てきた博士の姿を認め、ジルカルドはモノアイの光を和らげた。

「感謝します、パートナー・ミラージュ」
「ほう、君でも間違うことがあるんだな」

 私は意地の悪い笑みを顔に浮かべた。

「パートナー契約は事件が解決するまで、だったろう?」

 事件はめでたく解決。二度目の修理が済めば、ジスカルドは当初の予定通りモリナラへ行き、レンジャー達を手伝うことになるだろう。
 我々の関係も、今度こそ終わりというわけだ。

「なるほど、貴方のおっしゃる通りです」

 と、ジスカルドは突如、目まぐるしくモノアイを点滅させ、回転音を鳴らし始めた。

「どうした?」
「私は今、貴方に投げかけるに適した言葉を探しています」

 さらに急回転。ややあって、回転音が止むと、キラーマシーンのモノアイに暖かな光が宿った。

「どうやら、それが見つかったようです。では、あらためて……」

 彼は機械の腕を私に向けて差し出した。

「ありがとう、フレンド・ミラージュ」

 私はがっしりとその手を握り返した。稼働熱のためだろう、熱いものが伝わってくる。
 R・ジスカルドは静かに私を見つめていた。メギラザに昇る朝日がブルーメタルを輝かせ、無機質な瞳が笑ったように見えた。
 RはロボットのR。
 R・ジスカルドは、私の新しい友人である。
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