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さて、ここからは色物枠が4名。……少々多すぎではなかろうか。
スキルマスターとその弟子、それに大盗賊カンダタ。
そしてなぜかムーニス王。
ただでさえ格闘場と玉座の二か所を瞬時に行き来する健脚な老王なのだが、この参戦により、同時3か所制覇という偉業を成し遂げている。ご多忙にもほどがあるが、政務の方は大丈夫なのだろうか。大臣が頭を抱える姿が目に浮かぶ。アラハギーロも前途多難である。
カンタダについては、私はまだ伝説の中にその名を知るのみで、直接、会ったことは無い。プクランドに出没しているという彼が伝説の本人なのか、同じ衣装を着た別人なのかすら、わかっていないのだ。
いずれ、一連の事件を調査してみたいとは思っているのだが……。
とりあえず「伝説の人物」として、票を入れてみる候補には入るか。
あとの二名については、これといって語るほどのことも無いが、何故本人だけでなく、取り巻きまで連れてきているのかが気になる。
スキルマスターとファルパパ神の間に何かのコネクションがあって、特例を許可されたのだろうか。まさに神のみぞ知る話である。
それにしても、今回の順位予想は難しい。
とりあえずヒューザとトーマ王子が頭一つ抜けているのではないかと思うが、そこから下は団子状態となりそうだ。
まあ、ムーニス王の最下位は動かないような気がするが……
結果を楽しみに待ちたい。
ところで、彼らにあてられたわけではないが、最近、私もドレスアップを見直している。
コンシェルジュが知恵を絞って生み出した妖精の姿見は、非常に便利な道具だ。加えて、新しい衣装、コマンダーコートも売り出された。
ま、少々"値の張る"装備ではあるが。
特にコート下は私にとっては念願だった「ノーブルコートの色変え可能版」になってくれるかと期待していたのだが、よく見るとズボンのタイプが違う。どうやらブーツが内側に隠れるデザインらしい。ううむ、何故こう「あと一歩」が届かない装備ばかりなのか。
とはいえ、上着も使いやすそうなので、とりあえず購入し、無難な組み合わせで一つ、作ってみた。
相変わらず前座芸人のズボンは万能である。何にでも無難に合わせらられる。
また、コマンダー上も大抵のものに合わせられる、かなり使いやすい装備だ。
脚装備としては、クリムゾングリーブを採用。この衣装ではあまり目立たないが、たいていの半ズボン装備をごまかせる丈の長いグリーブである。
同じく丈の長い神兵のグリーブと比べてボリューム感がない代わり、後方側面からの見た目が崩れない点がポイントだ。
もっとも、20万ゴールド近くしたのは計算外だったが……。型落ちした装備の高騰は深刻な問題である。
そういえば、ナイト選挙とは別にプリンスコンテストというのも始まった。
プリンセスコンテストには何人か知り合いも出場しており、そのレベルの高さには驚かされた。
私も趣向を凝らしていくつか撮ってみたのだが……
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嵐を裂いて稲妻が走る!
魔法戦士同士の決闘の様子を撮影したもので、個人的には気に入っている。が、肝心の顔が映っていないので、コンテスト向きとはとても言えない。
改めて入選者の撮影技術の高さを思い知らされる。
どうも、私は趣味程度にとどめておいた方がよさそうだ。
いつか「決闘写真コンテスト」などというものが開催されたら、参戦を考えてもいいかもしれない。
と、雑誌と姿身を交互に眺めながらあれこれ考えていると、いつの間にか日が傾きかけていた。
見れば、水玉ドラゴンもサイクロプスも家路についたらしく見当たらない。キノコたちが無表情に夕陽を眺めていた。
どうも、妖精の姿見は時間を忘れさせる。
私は雑誌をしまうと、再びドルボードを起動した。
風はやや冷たい。
日が落ちないうちに、駆け抜けるとしよう。