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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2015-12-27 17:45:57.0 テーマ:その他

新時代と邪神のきまぐれ~なりきり冒険日誌【邪神の宮殿・挑戦】

 靴底で砕ける、凍った雪の感触を覚えている。
 雲一つない冬空の向こうに、黒く穿たれた穴があることを覚えている。
 銀色に鈍く光る、あの石の輝きを覚えている。  冬のランドン山脈。かつて、この山で採れる鉱石を求めて、冒険者たちが雪に走った時代があった。
 多くの冒険者にとって、この山道は数少ない金策の道だった。
 まだドルボードもなかった時代の話である。
 深雪の白と岩肌の灰色に埋め尽くされた景色を目にした途端、懐かしい感覚が蘇ってきた。
 だが、旅人たちの姿はすでに無く、今、この道を走るのは雪と風、そして絶え間なく流れ続ける時間だけ。
 嗚呼、風は吹き、時は流れたのだ。
 思えば遠くに来たものだ……

 ……などと、新時代早々、昔を懐かしむためにここにやってきたわけではないのだが。

 私が年の瀬の忙しさに追われて冒険に出られないでいる間にも、確実に時は流れていたらしく、新時代は滞りなくやってきた。
 そして新たな宴へのお誘いも。
 ポストに届いた一通の手紙に応え、私はこのランドン山へとやってきた。
 さて、何が待っているのやら。
 手紙の記述を頼りにドルボードを走らせると、どうやら目的地が見えてきた。  天に黒点あれば地にも穿てと大口を開けた真っ黒な空洞。この洞穴を、邪神の宮殿と呼ぶ。
 私を迎えたのは、手紙の主、魔封剣姫殿。
 オーガには珍しく、ランドン山に降る雪のように白い肌と、妖艶な香りを漂わす口元のルージュが印象的な美女である。
 彼女の語る物語は非常に興味深いものだったのが……公にするのも憚られるので、省かせて頂こう。
 兎も角、彼女の導きの元、邪神を阻止するため、我々の新たな戦いが始まる、というわけだ。

 まずは様子見。同盟を組んでの本格的な戦いの前に、サポートメンバーと共に挑んでみることにした。何事も、まずは自分の目で確かめてみることだ。
 虚空に突き立てられた巨大な剣の前に立ち、息を整える。いざ出陣。
 ……と、私の頭上から奇妙に事務的な声が響いた。

『仲間モンスターはこの戦いに参加できません』  ……ご説明願いましょうか剣姫殿。ラッキィも泣いているではありませんか。

「いや……まあなんだ。色々と……面倒でな」

 面倒?

「ほら、職業とか、判定とか……な。わかるだろ?」

 むう……どうやら本当に魔物お断りらしい。魔物使いは怒っても良いのではないだろうか……。
 だがルールならば従うしかない。ウソ泣きをやめたラッキィをひっこめ、別のメンバーを呼び出す。
 余計な小芝居を挟んだが、気を取り直して、いざ出陣。

「同盟を組まずに戦うのか?」

 剣姫が首をかしげる。

「ええ。まずは様子見ですから」
「非常に苦しい戦いになるが、構わんのか?」
「無論」
「では、準備を整えよう。しばし待つが良い」

 待つことしばらく。やがて声が響く。

「準備ができたぞ。では健闘を祈る!」

 一瞬、脳裏に鎖を引きちぎるような映像が浮かび、白い光が渦を巻く。
 光が消えた時、そこに見えたのは……

 ……7人の冒険者達の姿だった。 「よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」

 口々に挨拶を交わす冒険者達。サポートメンバーの姿は無い。
 これは一体どうしたことか。剣姫殿、剣姫殿……ッ!
 呼びかけても返事は無い。どうやら、何か手違いがあったらしい。
 仕方なく私も冒険者たちに挨拶を返し……そのまま戦場へと向かうことになってしまった。
 冷や汗一つ。
 何の予備知識もないまま、見ず知らずの冒険者と共に強敵に挑む。
 お試しのつもりで、装備も適当だというのに……。
 共に挑むメンバーはいずれも口数少なく、それでいて自信たっぷりのベテランに見える。
 足を引っ張って白い目で見られたりしないだろうか……。
 冷や汗二つ。
 軽い気持ちでやってきた宮殿で、このような緊迫した戦いに挑む羽目になろうとは、誰が予想し得ただろうか。
 私の新時代は、波乱の幕開けとなった。 

 戦いは想像を超えて激しいものだった。
 辛うじて勝利を拾えたのは、共に戦ったメンバーの腕前ゆえである。流石は一流の冒険者達だ。
 私はといえば……マダンテを撃った直後にうっかり倒されてしまい、魔法力の調達に苦労するような失態を犯してしまう。道具が使えないこの戦いにおいては、致命的なミスである。
 なんともしまらない戦いぶりだったが、一応、勝ちは勝ち。様子見のつもりが思いがけない初勝利となった。
 とはいえ、これはまだ第一の獄。剣姫殿の言によれば、さらに厳しい戦いが二つも残っているそうだ。
 やれやれ、先が思いやられる。
 ……ま、しかし、新時代は始まったばかり。
 焦らず、自分の速度でやっていくとしよう。
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