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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2016-02-07 17:37:26.0 2016-02-11 10:14:53.0テーマ:その他

ショウほど素敵な商売はない(4)~なりきり冒険日誌【スパスタ職業クエのネタバレ有】

「誰だろうな?」

 ラスターシャに追いついた私は、彼女の顔を覗き込み……そこに、精妙な表情の踊り子の顔を見て息をのんだ。
 次の瞬間、まるで彼女の身体が透けて、景色と一体化したかのように見えた。

「ラスタ?」

 思わず、足を止める。
 私の靴が床を叩く。その音がやけに高く、長く響いた。
 続いて、ドタバタとした足音。後ろから追いかけてきたリルリラだ。これもまた、奇妙なほど鮮明に響いた。

「どうしたの?」

 訳もなく、私は彼女を制した。
 ラスターシャの背中が奇妙な存在感をもって遠ざかっていくのを、私は遠くから眺めていた。
 対面から歩いてきた女は、何気ない表情でラスターシャとすれ違い……次の瞬間、ピクリと肩を揺らして立ち止まった。

「……ウォーター・ウォーク」

 ぽつりと呟き、女はラスタを振りかえる。

「たゆたう水のように、音もなく……でしょ」

 ラスターシャも同じく振り向く。視線が交差する。互いに揺らがぬ視線。何故だろう。見ているだけのこちらが目をそらしたくなるような緊迫感があった。

「歩き方でわかるわ。貴女、なかなかの舞い手みたいね」

 女は最初、挑発的な、次に嬉しげな笑みを浮かべてラスターシャに手を差し出した。

「貴女もね。プレシアンナさん」

 プレシアンナ……ラスタは女をそう呼んだ。聞いたことのある名前だ。
 確か、メギストリスの芸能界でも、群を抜いた評価を受けている役者の一人ではなかったか。

「名前は?」
「ラスターシャ」

 プレシアンナとラスタは軽い握手を交わした。首から上は笑顔のままだったが、抜き身の剣を重ね合わすような、息も詰まる空気が流れた。
 一瞬の沈黙。
 フッ……と、その空気を吐き出して、茶目っ気のある微笑をプレシアンナは浮かべた。

「私、踊りの上手い人は好きよ。上達にはいいライバルが必要だものね。あなたもそう思うでしょ」

 名女優は一転して、人懐っこい表情となった。

「ええ、そうね」

 ラスタも表情をやわらげる。空気そのものが弛緩したのが分かった。部屋中が安堵のため息をつく。
 ここでラスターシャは、駆け寄ってきたリルリラに気づいたようだ。

「紹介するわ。こっちは友達のリルリラ」
「リルリラです。よろしくお願いします!」

 リルリラが握手を求める。
 だが、次の瞬間、和らいだはずの空気は途端に刺々しく凝固してしまった。
 リルリラの足元を一瞥して、プレシアンナは笑みを消した。ぱたぱたと、騒がしい音を響かすシューズ。
 無造作な足音は、ウォーター・ウォークとは程遠かった。あえて水に例えるなら、水たまりを踏み荒す子供のステップである。
 はっきりと軽侮の色を瞳に宿して、プレシアンナはリルリラに背を向けた。

「悪いけど私の出番、次だから。急いでるのよね」

 どうやら彼女は、名女優のお眼鏡にはかからなかったらしい。
 虚空に差し出した手を見つめて、リルリラは困ったような唸り声を上げた。その頭にポンと手をのせてやる。
 才なき者に用はない。まさに絵に描いたようなスーパースター、か。
 去っていくスターとリルリラを交互に見つめながら、ラスタもまた困った顔で小さく唸るのだった。

「凄いじゃない、あなた達」

 と、声をかけてきたのはサルバリータである。

「あのプレシアンナに認められるなんて」
「はあ……」

 困り顔のラスターシャ。リルリラは頭を掻く。

「私は無視されちゃったけど」
「ますますいいわ。正面から相手にしたくないほど才能があるってことよ」
「えっ、そうなの!?」
「そうよ。私も舞台を見ていて思ったわ。あなた達二人なら、プレシアンナを超えてトップスターになれるって」

 パッと顔面に花を咲かすエルフである。

「お調子に乗るんじゃあないぞ、リルリラ」

 今一度、頭の上に手を乗せてやる。

「こういうのは全員に同じことを言うものだ」
「あら、貴方には言わないわよ」

 サルバリータが悪戯っぽく笑う。

「そりゃ……そうでしょうな」

 ぷいっと顔をそらして見せる。女三人、一斉に噴き出した。
 やれやれ、どうやらコメディアンの才能の方が、まだ望みがあるらしい。  その後も我々はサルバリータの劇団で公演を重ね、徐々に舞台にも慣れていった。
 特にラスターシャはその才能を高く評価され、我々が劇団に馴染む頃には、メギストリスの新星の一人に数えられる程となっていた。
 リルリラの方はさほどでもなかったが、ラスタの相方として、一定の出番は与えられているようだった。
 私はと言えば、相変わらずバックダンサーとしての小遣い稼ぎだ。ま、メンバーを外されないということは、最低限の仕事はできているのだろう。
 万事順調、順風満帆。
 そんなある日の舞台で、事件は起こった。
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