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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2016-03-18 23:31:52.0 テーマ:その他

魔法戦士、牙の王に挑む(6/6)~なりきり日誌【牙王ソロ挑戦】

 降りしきる雪が時折、吹雪に変わるのは気紛れな天候のせいではない。
 白い影が、氷雪の古城を所せましと駆け廻る。影の名は、風を巻き嵐を呼ぶ牙の王、ゴースネル。
 彼が巨体を唸らせるたび、雪は吹雪となって私の身体を撃つのである。  賢者をメンバーに加えての、この戦い。序盤は牙王の攻勢が続いた。
 アクシデントもあり、態勢が整わない立ち上がりの段階で僧侶と賢者が倒されてしまったのである。
 仕方なく私は距離を取り、敵を引き付ける。
 牙王が私を追いまわしているうちに残ったもう一人の僧侶が辛うじて立て直しに成功したが、危うく戦術以前の段階で終わるところだった。
 全く、油断も隙も無い相手である。
 ようやく戦況を振り出しに戻し、仲間達は作戦通りの戦術を展開し始めた。
 光放つ剣が牙王のたてがみを削ぎ落す。さしもの巨獣が苦悶の呻きを上げた。
 自分自身でも驚くほど、ライトフォースを上乗せした隼斬りは有効な攻撃だった。
 そして賢者は盗賊と違い、いちいち指示を出し直さずとも零の洗礼、蘇生回復、攻撃を使い分けて戦ってくれる。賢き者。その肩書は伊達ではない。
 機を見てマダンテも積極的に狙う。闘場の外ではニャルベルト達がエムブレムを掲げて応援してくれる。彼らの声援とエムブレムの力が私の魔力を覚醒させたなら、一撃必殺のチャンスである。何しろ相手は光に弱い。フォースブレイクが入っていたなら、なお良し!

 危うい場面もあった。僧侶一人を残して全員が倒れていたこともある。もし牙王がテンションバーンや破滅の流星で僧侶に時間を与えてくれなかったなら、全滅は免れなかっただろう。
 だが天は我に味方せり。なんとか立て直す。

「キィッ、キィッ!!」

 場外ではラッキィがしきりに警告を発している。残り時間は僅か!
 焦らず、だが積極的に! フォースブレイクから一気呵成に攻撃を仕掛ける。光を帯びた斬撃に、ついに牙王が巨体をぐらつかせる。

「えぇい、小賢しい!」

 牙を食いしばり、ゴースネルは得意の突進の構えを見せた。
 その姿はまさに弾丸込めを終えた大砲。まともに食らえば、ただでは済まない。
 だが……。
 見慣れた構えだ。もう何十回、見ただろうか。
 奇妙にゆっくりと時間が流れた。全ての音が止まったように思えた。雪がふわりと宙を舞う。牙王は呼吸を整え、彫像のように静止した。
 私は弧を描く軌道で足を運ぶ。二歩、三歩、四歩……牙王が構えを改めた。私は走る角度を変える。再び一歩、二歩……またも牙王が狙いをつけ直す。私もまた角度を変える。徐々にサイクルが狭まる。
 確信があった。身体が覚えていた。
 と、世界に音が蘇る。大質量が風を乱して襲来する。耳ヒレが揺れ、キンと耳鳴りのするような音が通り過ぎた。間一髪! 私の髪が風になびき、牙王の巨体が空を斬った。
 瞬転! 身を翻すと同時に刃が銀光を放った。一つ、二つ、三つ、四つ! 鋼の隼が巨獣の四肢を撃つ。
 何かが破裂するような爆音が轟いた。  ゴースネルは一瞬、動きを止め、こちらを振り向いた。
 そして……牙をむいた。
 私には、彼が笑ったように見えた。
 震動と共に轟音が響く。ゴースネルの巨体が初めて地に堕ち、そして元の白い煙へと返っていった。
 長い戦いも、これで幕、か。
 唐突に、剣の重みが腕にのしかかってきた。
 倒れこみそうになるのを堪え、ゴースネルのいた空間に視線を送る。
 思えば、多くを学ばせてもらった。敵と、仲間と、自分自身を知る戦い。そしてこの挑戦は……率直に言おう。楽しかった。
 私は霧となった牙王に敬礼の姿勢をとり、しばし名残を惜しむのだった。

「……ま、しかし、何度も挑戦してようやくの一勝。これでは"本番"で通じんだろうな」

 と、後に再召喚されたゴースネルはそう語った。
 たしかにこれはあくまで"練習"札。一発勝負の"本番"で安定して勝つには、まだまだ修行が必要だろう。
 友人たちと共に挑む時には、今と違った戦術も必要になるはずだ。学ぶべきことは山ほどある。
 と、いうわけで……

「これからも頼むぞ」

 私の道具袋には、ずらりと並んだ練習札。牙王は、余計なことを言った、という顔で沈黙した。
 とはいえ、それはまだ先の話。
 とりあえず、私は魔法戦士団からの指令を果たし、氷の領界行きの切符を手に入れた。
 次の戦場はナドラガンド。
 果たして、どんな世界が。そしてどれほどの試練が待ち受けているのやら……
 牙王との特訓が役に立つことを祈りつつ、私はヴェリナードを後にするのだった。
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