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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2016-04-24 10:45:22.0 テーマ:その他

氷の領界探索記~冷たい竜巻【なりきり日誌・注:ver3.2ネタバレ注意】

◆                                                                    ◆
 小部屋から吹き抜けを振りかえると、塔の中に充満する冷たく青白い空気が、渦を巻いてうねり舞うのが見えた。
 螺旋階段に沿って上層へと流れていくそれは、まるで一本の柱に絡みつく青い竜巻のようだ。
 上層へと通じる道はこの螺旋階段ただ一つ。だが、我が物顔でこの道を行き来する冷たい風と、仲良く手を繋いで同道しようなどとは考えない方が良さそうだ。
 勿論、氷漬けの保存肉になって上層にたどり着きたいなら、止めはしないが。
 冷たく輝く機械仕掛けの塔、氷晶の聖塔は、探索者の知恵を試す巨大迷路である。
 窓から差し込む細いオーロラ光のもと、我々は様々な仕掛けと謎かけを解きながら、この塔を登っていった。
 ある時は透明な床を走り、ある時は次々と現れる浮遊立方体に飛び乗り、またある時は幻と実物の入り混じった足場を慎重に乗り越える。かなり凝った趣向といえる。
 尤も、探索者を導くべく設置された碑文さえ見落とさなければ、さほど難解な謎ではない。ほどよい頭の運動といったところだろうか。

 勿論、我々は頭だけでなく、身体も動かさねばならない。この塔には多数の魔物が徘徊しており、しかも何らかの不思議な力により、逃走は禁じられているのだから。
 桃色に輝く巨大な宝石、スライムマデュラは特に厄介な相手だった。
 あらゆる理力を完全に弾くこの敵に対し、うっかりフォースを発動させ、仲間の武器に理力を纏わせてしまった私は、しばらく敵の猛攻と仲間の白い目に耐えながら理力が消えるのを待つこととなった。全く、厄介な相手である。  こうして、施された仕掛けを解き、階段にまとわりつく凍気を払い、最上層まで辿り着いた我々を待っていたのは、この塔を創りたもうた存在からのささやかな祝辞だった。
 創造者の名前には、今更驚かない。やはり、と頷くだけだ。
 これまで与えられてきた試練の意味もここで明かされた。
 徳の高さ、面倒見の良さ、そして知恵を計るための試練、だそうだ。

 ……あのキノコの一件では、面倒見の良さよりも純粋な戦闘能力を試されていたように思うが……。
 それ以前に、いつか訪れる探索者に試練を与えるためだけに巨人達をわざと争わせていたのだとしたら、ピナヘトはかなり冷酷な神ということになる。
 凍てつくような氷は、花の神のもう一つの顔なのだろうか?
 あるいは、あの巨人自体、やはり試練のために神が創りだした幻だったのか。数々の挑戦者が皆、あの試練を乗り越えてきたのであれば、そう考えた方が自然ではある。

 創造者の声は最後に、再びナドラガンドが一つになる日が訪れんことを祈る、と言い残して消えていった。
 どうやらナドラガ教団の目的は、少なくとも今のところ、種族神の意に沿うものであるらしい。
 だが、一方でこの世界を封鎖しているのも彼ら種族神である。
 そして、この試練は竜族だけでは達成できないように作られている。
 そこに神々の思惑が見え隠れしているように思えるのは私だけだろうか。
 もっとも、いちウェディにすぎぬ身が神々の意を推し量るなど、不遜もいいところだろうが……

「ま、神様も色々大変なんでしょ」

 僧侶リルリラは軽くまとめた。さっぱりしたものである。

 さて、我々を待ち受けていたのは有難いお言葉だけではない。
 最後の試練、すなわちこの塔の守護者、通称"氷魔"との戦い。
 そして彼に挑戦すべくここに集まった冒険者達が我々を出迎えた。
 彼らはいずれも険しい表情を浮かべている。もう何日も挑み続けている、と語る者もいた。あまりの過酷さに打ちひしがれ、一時撤退する姿もあった。
 噂には聞いていたが、どうやら相当の難敵らしい。
 中には見知った顔もあった。ナドラガ教団の神官エステラ殿だ。  彼女は"解放者"と呼ばれる高名な冒険者と共に既に試練を突破済みのはずだが、己を鍛え直すため、再び挑戦者たちと共に氷魔に挑んでいるらしい。
 ここで会ったのも何かの縁。私も彼女と共闘することとなった。
 そして……。

 仔細は省く。
 最初の挑戦は、失敗に終わった。
 敗北。確かに強い。強敵だ。
 だが、どう足掻いても歯が立たない、という程の相手ではなかったように思う。実際、初挑戦にしてはかなり敵を追い詰めていた。
 案外、もう一度戦えばあっさりと勝てるのでは……皆が言うほどの試練ではないのではないか……?

 ……数刻後、私はこの考えを後悔することになる。
 甘い。全くもって、甘い。
 オルフェア名物アクロバットケーキのように、甘すぎる考えだった。
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