なりきり冒険日誌~人形たちのラグナロク(1)
某月某日。私はまたもぬいぐるみを求めて旅をしていた。
先日のケキ神人形のことでアズランの風乗り、フウラのことを思い出して訪ねていったのが運のつき。紆余曲折を経てしゃべる人形、戦士シグルドとその一行に関わることになり、今に至る。
彼らの指導者である3賢人……無論人形だが……をもとめて、ほうぼう手を尽くしたものだ。
ある時は娯楽の街ラッカランへ。ある時はウルベア遺跡へ。そして人形の持ち主である子供たちにこうして踊りを見せて機嫌を取ったりもした。まったく、旅芸人の経験がこうも役立つとは……。
旅に危険は全くなかったが、あちこちを歩き回ってさすがに疲れた。こうなってくると、うわさに聞く飛行機械、ドルボードとやらが欲しくなってくる。単調な移動時間など短いに越したことはない。せめて楽しめる景色でもあれば別だが、旅慣れたせいか、どこもかしこも似た景色に見える。
ともあれ、ようやく3人の賢者がそろったわけだ。
巻き込まれる形で始まった人形たちの冒険譚だが、見届けてやらねばなるまい。
なんでも、彼らは奪われた戦乙女とやらを助けたいそうだが……。そういえば、フウラからケキ神人形を譲られた、あのプスゴンとかいう怪物はどうしているだろうか。
別に野垂れ死んでいても構わないのだが……。