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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2017-08-19 00:39:27.0 テーマ:その他

ナドラガンドの決戦(14)~なりきり冒険日誌【ストーリーネタバレ注意】

【注:ver3.5後期のストーリーネタバレを含みます】
                                  
第五話「瞳のナイフ」後編(1)
 ぽとり、ぽとりと流れ落ちる血が炎の光を跳ね返して黒く光った。
 町中が息を止めたかのように、一瞬の静寂が夜のエジャルナを覆った。
 子供はまだ戸惑った表情のまま、身をすくめていた。がっしりとそれを覆うのは女の細い腕。
 こめかみから血を流しながら、女は街を睨みつけた。あの時、とっさに体が動いた。身を挺して子供をかばったのだ。

「そ、そんなつもりじゃ……」
 ショートリーゼントの男が脚を震わせて後ずさりした。当たるはずのない石。誰も傷つけるはずのない石だからこそ、気軽に投げたのだ。今も、昨日までも。
 それが今、隣人を傷つけ、赤い血を流させている。
 男の背筋を冷たい風が撫で上げた。
 これまで投げた石全てが、誰かに当たっていたかのような後ろめたさに襲われて、男は呻きを漏らした。石を投げた腕が寒い。
 女は怒りに燃える瞳でその顔を睨みつけた。ナイフのように鋭い視線が男を襲った。
 一度でも石を投げたことのある者なら、等しく誰もが喉元にナイフを突きつけられた気分になったはずだ。つまりは、ここにいる全員が。

「こんな小さな子供なんだ……」
 女は呟くように小さく言った。小さな声が、全員の耳に届いた。
「怪我をしてたんだ! 助けてやったって、いいだろう!」
 男に、民衆に、街に向かって彼女は叫んだ。炎渦巻く街に。
「どうして石を投げられなきゃいけないんだ! どうして!」
 血と共に涙が流れる。それを見て、子供が泣きだした。泣き声が響く中、夜に向かって女は叫ぶ。黒い炎が、萎縮したように震えた。
 だが白ローブは微動だにしない。
「たとえ子供と言えど……」
 フードの中に光る眼が、冷徹に断言する。
「背教者ならば許しておけぬ」
 杖を掲げる。冷酷な打擲の構えだ。
 観衆が静まり返った。さすがに子供に手荒な真似はしないだろう……などという甘い希望は微に砕かれた。
『おい、誰か呼んで来いよ』『誰かって……誰だよ』
 観衆は狼狽する。すがるべき支配者は、目の前の凶行の主。白ローブが一歩踏み込むと、女は子供を覆い隠すように抱きしめた。
「この街はおかしくなってるんだ! どうかしてるんだよッ!!」
 空を焦がす炎が、大きくうねりを上げた。民衆がどよめく。泣き声が響く。
「何が神だ! こんな奴らの言いなりになってたまるか!」
 激情のまま、彼女は押さえつけられていたもの全てをぶちまけた。誰もが思っていたことを。
 民衆はもう、金縛りにあったように動かなかった。動けなかった。
 その静寂を貫く声があった。
「背教者よ」
 誰もが振り返る。民衆の壁をかき分けて、更なる白ローブの一団が姿を現した。
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