なりきり冒険日誌~人形たちのラグナロク(2)
人形たちとの珍道中はまだまだ続く。件の戦乙女の居場所が分かったとのことで、私たちはモリナラ大森林の古井戸から繋がる洞穴へと赴いた。
シグルドたちがニブルヘイムと仰々しい名で呼ぶだけあって、この古井戸に漂う瘴気はかなり色濃く、私たち戦慣れした冒険者はともかく、人形たちにはつらい行軍となったようだ。そしてついに、人形たちのラグナロクは二人の犠牲者を生んでしまった。
二人の人形が天へと召された。つまり、喋る人形が喋らない人形になってしまったのだ。
……。
私としては、喋らない方が普通なのだが。
少しドライすぎただろうか?
戦士シグルドは己の未熟さを悔やんだが、兎も角、戦乙女の人形は取り戻すことができた。
どうも、どこかで見たような気のする人形なのだが……。
さらに言えば、人形の現在の持ち主が住んでいると思われる住居。これがまた見覚えのある光景だ。
洞穴の奥に、場違いに整えられた家具の数々。珍妙なインテリア……
また会うことになるのだろうか。あの悪趣味な怪獣に。
できれば会いたくないものだ。酒場で連れ合った統率のとれない仲間たちにとって、あのイチゴ爆弾は厄介な代物に違いないのだから。
決戦の予感を胸に秘めたまま、我々はその場を後にした。