なりきり冒険日誌~人形たちのラグナロク(4)
人形たちのラグナロクもついに最終章を迎えたようだ。
ツスクルを経て久遠の森へ。案内役を買って出たのは私の友人で、リルリラという名の冒険者だ。僧侶の家系に生まれツスクルで学問をおさめたが、本人は旅芸人にあこがれてこのような派手な格好をしている。この姿でベストドレッサーコンテストに応募したそうだが、見事落選したそうだ。当然のことである。
彼女によると、久遠の森はツスクルの学舎での最終試練にも使われた土地らしいが、我々の向かうのはその更に奥地。学舎の者も決して立ち入らない危険区域である。
シグルドたちによれば「滅びの魔竜」がそこにいるという。ケキ神人形、もとい戦乙女を奪い去った魔物のことであるが……。もはや誰のことだか、嫌でもわかっている。
それだけに戦力を整えて向かいたいのだが、正直に言えばリルリラの僧侶としての実力は半人前がいいところである。そもそも冒険者としての基礎体力が足りていないのだ。
戦士、武闘家の修業を経て今はパラディンの修業をしているというが、それが仕上がるまで、あと半月はかかるだろう。当然、待ってはいられない。
少々不安ではあるが、他に一流の僧侶と武闘家を雇い、かろうじて戦力を整えた。
いざ、決戦へ。
……それにしても、愛らしい顔の人形戦士たちを見るたびに気が抜ける。
どこか間の抜けた、最後の戦いの始まりであった。