なりきり冒険日誌~人形たちのラグナロク(5)
果たして、やはり、予想通り。
待ち受けていたのは怪獣プスゴンだった。
人形たちに戦う力のあるはずもない。当然、我々が迎え撃つ段取りとなった。
悪戦苦闘。プスゴンの力は明らかに以前より増していた。統率のとれた先頭集団ならばともかく、やはり酒場で雇った戦士たちでは設置された爆弾への対処に難がある。真っ先に倒れたのはリルリラ。敵に接近せざるをえない武闘家もやがて餌食となった。
だが、次の瞬間には神々しい光が負傷者をよみがえらせる。やはりリルリラの他に一流の僧侶を雇っておいたのは大正解だった。粘り強い蘇生と回復でパーティを支える僧侶は、戦いに無くてはならない存在だ。
リルリラも早くこの境地に達してくれれば、私も楽ができるのだが……。
ちなみに私はと言えば、復活のたびに補助魔法をかけなおし、魅了された仲間にはツッコミを入れ、プスゴンが怒ればロストアタックを浴びせ、と忙しく、攻撃に手数をかける暇はなかった。
ゆえに攻撃手段は強化を必要としないギガスラッシュである。
腹が立つほど応えていない表情のプスゴンだが、これはどうやらやせ我慢だったらしく、武闘家とともにしばらく攻撃を加えていくと、爆音とともに膝をついた。
それからの展開について、多くは語るまい。戦乙女は意識を取り戻し、プスゴンは去った。
無意味なまでに男前な言動にリルリラは感動していたが、他の二人は白けた空気を隠しきれないようだった。
どうやらこれで、一連の事件も収束に向かいそうだが……?