なりきり冒険日誌~王たる者の資質(2)
珍妙なポーズをとった古代王の象。数百年にわたって受け継がれる象にこのポーズを選ぶところに、王の人となりがあらわれてる。
試練の準備はつつがなく行われ、この像を前にして、始まりの塔を復活させるための儀式が開始される。
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ラグアス少年王は古代の王からの問いに滞りなく答えた。その返答は王として恥ずかしからぬものだった。
だが、問われれば能く答える、というだけでは良い生徒ではあっても、良い王とはいえない。彼がその理想を実現する実務能力を身に着けるまで、まだしばらくの時間を要するだろう。引き続き、プクランドの政治情勢に注目したい。
さて、例によって魔法の迷宮へと飛ばされる我々だったが、ここまでくればもう心配無用……などとのんきに構えていたその時、事故は起こった。
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ヘルコンダクター。瘴気を従えた魔界の貴族。見る者の笑いを誘う冗談のような音楽家スタイルはしかし、ただの伊達や酔狂ではなかったらしい。
その指揮棒に、まず酒場で雇った武闘家が魅了され、正気に戻そうと彼を打ったハリセンはあらぬ方に外れ。そして不覚にも私自身も魅了の魔術にかかり味方に襲い掛かる始末。
意識を取り戻したとき、私が目にしたのは半透明になって浮かぶ僧侶二人の姿だった。
あえなく撤退。全滅の憂き目を見なかっただけでも幸いというべきか。ここしばらくというもの、試練があっさりと終わるので私も気が抜けていた感は否めない。深く反省し、以後、ヘルコンダクターを見かけた場合は最優先で始末することを胸に誓った。
守護者との戦いでも焼け付く息の連発に苦戦させられたが、地力の違いのおかげか、深刻な事態には至らなかった。
もう少し守護者の攻撃能力が高ければ笑い事では済まなかっただろう。
なんとか試練を終え、王者のこてを手に入れたが、どうにも情けない話である。
どうやらラグアス王の成長を云々する前に私が成長しなければいけないようだ。
戒めを胸に、私は最後の武具が待つオーグリードへと向かうのだった。