その日、私の家のポストに一通の手紙が届いた。
差出人を確認すると、古い友人の名前が記されていた。
彼の名を、仮にシャレードと呼ぶことにしよう。
世界各地を旅している。
私と同じ、魔法戦士団の一員だったこともあった。
ガートラントのパラディンだったこともあった。
キリカ修道会に入会したこともあれば、踊り子だったこともある。不思議な男だ。
だが彼の本質はそのどこにもない。彼は何にも属さず、何にも縛られず、常に自由な旅人なのだ。
そんな彼は、たまに旅の思い出を手紙にしたためて送ってくる。私もそれを楽しみにしているところがある。
だが今回の手紙は……一風変わった趣向を凝らされていた。
いくつかの写真に、詩が添えられている。それ以外に何もない。
私とリルリラは顔を見合わせ、そして揃って写真を覗き込んだ。
詩はどうやら、昔流行った歌の、歌詞の一部のようだった。
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いろんな≪命≫が 生きている ≪この星≫で
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今日も
≪運ぶ≫ ≪戦う≫ ≪増える≫
そして
≪食べられる≫
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引っこ抜かれて 集まって 飛ばされて
でも ≪私たち≫
≪愛してくれ≫ とは 言わないよ
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穏やかな笑みを浮かべるプクリポの姿が写真に刻まれていた。
全てを受け入れた殉教者の、静かで悲しい微笑み。
シャレードの気持ちが何となく伝わってきた。
詳しく語るわけないはいかない。だが、誰かに語らずにはいられない。そんな気分だったのだろう。
リルリラは自然と指を組み、祈りの姿勢をとっていた。
私も、祈らずにはいられなかった。
名前も知らない彼らにの≪未来≫に、どうか、幸あらんことを。