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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2022-08-23 19:21:17.0 テーマ:その他

魔法戦士、深翠の試練場を行く(1)~なりきり冒険日誌【注:ver6.0までのストーリー記述有】

 "籠の中の鳥"とは、不自由な境遇の人物を例えた言葉である。
 一方、私の目の前で飛び回る鳥は、体自体がカゴでできていた。  空っぽの鳥かごに翼と脚が生え、くちばしを広げてけたたましく鳴く。
 ふらふらと飛び回っているところを見るとどうやら自由らしいが、中身は空っぽである。
 深い……ような気がするが、きっと気のせいだろう。

 私の名はミラージュ。ヴェリナードに仕える魔法戦士だが、今はわけあって宿屋協会のスタッフとして、ここ天星郷フォーリオンで活動している。
 しばらく神都での雑用や配達といった任務に従事していた私だが、最近はこうして街の外に出る機会も増えてきた。  夜空の青と木々の緑が星の光に照らされて煌々と輝く。夜風は濡れた空気を運び、ホワイトパンサーは静かに草を踏みしめる。鼻腔をくすぐる香りは芳醇だが、雑味がなく清涼だ。それが心地よく、また……不自然でもあった。
 私は肩口に触れた木の葉をひとひら、手に取った。造花ではない。だが手触りにはザラついた野性の手触りが欠片もなく、どこまでも滑らかで、清潔であった。

「造られた景色、だな」
「そう思うからそう見えるんじゃない?」

 私はエルフのリルリラと言葉を交わした。
 輝く緑が頭上を覆い、数々の野生動物が闊歩するこの密林は、深翠の試練場と呼ばれている。
 天使たちが歴史上の英雄を呼び寄せ、試練を与えるために作り出したフィールドだ。天星郷にあるのは、彼らの拠点である神都を除けば、こうした人工の疑似自然区だけだった。
 木陰に潜むモンスター達も、試練のために天使たちが下界から調達した"役者"である。特殊な調教が施されているらしく、我々を見ても襲ってはこない。
 おかげで道行きは順調だった。少々退屈でもある。せいぜいの暇つぶしが珍しいモンスターの観察だ。ちなみに先の鳥かごはカラポッポといって、まだ発見されて間もない珍種である。

「ま、松明いらずというのは助かるが」

 私は空を見上げた。明るい夜空だ。
 密林の背後に、宙に浮かぶ別の試練場が見える。試練場を覆う光の障壁は人工の満月となって夜景を照らす。この密林が夜なお美しく輝くのは、そういう仕組みである。

「ほら、あそこ!」

 と、リルリラが木の枝を指さす。どうやら目当てのものにたどり着いたようだ。  巨大なハチの巣から、甘い香りを放つ液体がトロリと零れ落ちる。夜の光に照らされたそれは黄金色に輝き、金の雫となって深翠の緑野を彩った。
 キラービーが遠巻きに我々を見守る。調教済みのはずだが……刺激するのは避けるべきだろう。私はそっと巣に近づき、必要な量のハチミツだけを採取すると静かにその場を立ち去った。
 巣のとなりにいた、やけに大きなクワガタムシも気にかかったが……試練場の生態系を乱さないようにと厳命を受けている。少年時代に戻って虫網を振り回すのは、やめておこう。

「これにて任務達成~」

 リルリラは採取ビンに踊る黄金の液体にご満悦だ。

「まだ半分だが、な」

 私は依頼人の顔を思い浮かべながらそう言った。

 そもそもの発端は、リルリラが個人的に知り合った天使ネリメルからの頼み事である。 「フェディーラ様の作った料理が、どうしても忘れられないんです!」

 と、彼女は言った。フェディーラは天界随一の料理人として知られる女天使だが、英雄たちの試練を監督する身で、持ち場を離れられない。そこでお使いに、というわけだ。
 本人としては何ということもない頼み事だったのだろうが、私にとっては謎に満ちた試練場に立ち入る絶好の機会だった。さらに試練を司る天使フェディーラにお目通りするチャンスでもある。

「我々にお任せを」

 一も二もなく引き受けた。
 そして現地。原料を切らしていた天使フェディーラからハチミツの調達を依頼され、今に至る、というわけである。
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