なりきり冒険日誌~動き出した時間(6)
ダオ少年の旅立ちを見送ってから数日後、ことの顛末を知らせに私はガラクタ城を訪ねていた。
ダストンの反応はといえば、ダオ少年の旅立ちを惜しむようでもあり、喜ぶようでもある。変人と呼ばれるだけあって、この男も一筋縄ではいかない男だ。
だが、根の部分は好人物らしい、ということはチリとの一件でもわかっている。
狭いはずのガラクタ城だが、少年一人いなくなっただけで随分と広く見えるものだ。
ダストンやポツコンとしばし語らいながら私は本国への報告書を書き始めた。
ドルワームを襲おうとした魔物たちのこと。古代帝国の興亡。そして皇子へあてた古代からのメッセージ。
文明に驕るが故に滅びの道をたどった古代史の王たち。だが、人はどんなに禁じても便利さを求めるものだ。
私など、ドルボードがほしくてたまらない。転送装置が使えるならいくつでも使いたい。
幸か不幸か、今のアストルティアはそれを求めても得られないが故に、求めることに貪欲だ。求めることこそ正義と言える時代だ。
時代が移り変わった時、人の在り方はどう変わっていくのだろうか。
物思いにふけりながら、今回の報告書は長くなりそうだ、と思った。