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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2023-10-08 16:31:00.0 2023-10-08 16:42:51.0テーマ:その他

堕天の星と砂のドラゴン(8)【※ver6.3までのストーリー記述あり】

 モヒカンヘアーが天を突き、握った拳がプルプルと震える。
 背後に並ぶ他の若者達も似たようなものだった。華やかなカフェに剣呑な空気が流れる。
 さてどうしたものか。私はドリンクを口にしながら思案した。情報収集も終わっていない今、荒事をおこしたくはないのだが。 

「やい、てめぇ!」

 考えがまとまらぬ内に、モヒカンヘアーが私に詰め寄ってきた。どうも……穏やかには終わらないらしい。
 私が椅子から腰を浮かせようとした、その瞬間。

「ア・ン・タたち!」

 いきり立つモヒカンの前に立ちふさがったのは、ウェイトレスのピコだった。  ストリートキッズは表情を歪めた。私は……浮かした腰をもう一度深く椅子に沈め、ストローを口に含んだ。

「アンタたち、ひょっとしてぇ、ウチのお客さんに手ぇ出したワケェ!?」

 モヒカンはピコの剣幕に押され、後ずさりした。

「い、いや……ここの客だなんて知るワケねえじゃん!」

 自然と、その後ろに溜まっていた荒くれたちも後ずさる。
 ピコが足を踏み出すたびに、ひと固まりのプクリポ達がステップを踏むように後退した。
 意外な展開にスイーツ侍は呆気にとられ、リルリラはクスリと笑った。

「盗ったもの全部返しなさいッ!」
「バカ! これが上手くやった顔に見えるかよ、ホラ!」

 生傷を見せつける。プクリポ達はしばらくステップを踏みあったが、私とリルリラの証言もあり、ようやくピコは納得したようだ。
 だがまだ怒りの面は解かない。

「いい? 次にこんなことしたら……」

 彼女はキッとモヒカンたちを睨み付け、小さな指を突きつけた。

「半年間オヤツ抜きだからねッ!」
「ええっ……半年間……!?」

 ストリートキッズは絶望に慄いた。  何を戯れたことを、と普通なら呆れ、ため息をつくのだろうが、あのスイーツを味わってしまった以上、話は別だ。
 あの深く優しい味を……緩急織り交ぜた食感のメドレーを半年間お預け……筆舌に尽くしがたい苦痛に違いない。
 ……そういうわけで、アラモンドのストリートキッズは我々の新しい友人となった。
 まず、何よりのことである。

 *

 喫茶バズスイーツカフェに甘く穏やかな空気が戻ってきた。
 テーブルに新たな皿が届く。
 我々は迷惑料として本日の料金を無料にしてもらったうえ、追加のデザートもサービスしてもらった。

「いやぁ、得してしまったでごじゃるなあ」

 リルリラなど、完全に役得に浸っている。演技にしても語尾がおかしい。

「ほれ、オトモよ。お前も食べると良いぞよ」

 勧められて私もスプーンを手にした。流星をあしらった盛り付け。件の新メニュー、"流れ星の帝王"だ。
 シュワッと弾けるラムネと甘いチョコレートが交互に口内を駆け巡る。新食感とでも言うべきか。刺激的で、しかしどこか優しく安心する味だ。堪能する我々を見て食欲を抑えきれなくなったのか、スイーツ侍も同じものを追加注文する。 「そうか、これが新しいボスのためのメニュー……」

 ひとしきり味わった後で、私は呟く。ピコが頷いた。

「そうそう! 最高にハイ!でウェーイ!って感じでしょ!」
「ウェーイでごじゃります!」

 リルリラが同意する。互いに笑い合う。随分と距離が縮まったものだ。
 あのストリートキッズには感謝すべきかもしれない。これで地元住民と自然に会話できる土台が生まれたのだから。
 私は歯ごたえのあるクッキーをつまみながら、情報収集を開始した。
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