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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

2D動画 静止画
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ミラージュの冒険日誌

2023-10-15 22:35:33.0 テーマ:その他

堕天の星と砂のドラゴン(13)【※ver6.3までのストーリー記述あり】

 レースはなおも続く。
 砂煙の中、天使の影が揺らめく。

 切り札は二つ。
 私はグリップの奥に取り付けられたスイッチに指を這わせた。
 冒険者向けドルボードに仕込まれた『ブースト』と呼ばれる加速装置。燃料を爆発させ、一瞬だが速度を強制的に倍加させる。
 だが持続時間が短い上に繊細な操作ができなくなるのが難点で、飛び交う瓦礫を避けながらの走行には向かない。
 前方を走る箱舟型ドルバイクは、またも岩山の壁面に沿ってカーブを試みていた。二呼吸ののちに、弾丸と化した岩肌の残骸が私を襲うだろう。
 
 だが私は小指をスイッチにかけ、躊躇なく押し込んだ。
 爆発的な推進力がドル・レーサーを一瞬浮かせる。
 景色が流線となって加速し、それは飛来する弾丸の速度をも倍加させた。
 私は歯を食いしばり、二の矢を撃つ。

『時よ!』

 私はバイクにまたがったまま、身に纏うフォースを震わせた。
 体内を走る理力の流れをあえて鈍化させ、体感時間を意図的に狂わせる。クロックチャージ!  物理加速と同時に鈍化した時間感覚は、高速飛来する石の弾丸を泥のようにゆっくりと視認させる。

『見える……!』

 低速にして高速。スローモーションの視界の中、私はバイクを傾け、弾丸の雨をすりぬける。
 その一瞬の内に、ブーストされたバイクは景色を飛び越え、箱舟型ドルボードに急接近する。
 内部システムを制御する周波数が乱れ、サンドランドスペシャルが悲鳴を上げた。

『もってくれよ!』

 二人の技術者の顔を思い浮かべ、私は念じた。
 岩のシャワーを突破する!
 泥のように流れる景色の中で、天使が口元を開くのが見えた。
 ブーストゲージに目をやる。残りわずか。
 私は箱舟に身体を寄せるようにハンドルを切った。並走、否。その前方に。
 天使の車線に私は強引に割り込んだ。サンドランドスペシャルの砂色の車体が……ヒレを揺らした私の背中が、天使長ミトラーの視界に覆いかぶさる。
 眼中に無いなどと、言わせるものか!
 チラリと背後を振り返る。ミトラーは追い抜こうとコースを変える。私はその方向に車体を先回りさせ、逃走を許さない。
 何度かの攻防。
 二台のドル・バイクが地面に複雑な模様を描く。
 すでにブーストエネルギーは尽きた。一度追い抜かれたなら、スピードでは追いつけまい。クロックチャージの負荷が全身に覆いかぶさる。あと何度、方向転換を阻止できる?
 泥のような景色が重さを失い、加速を始める。クロックチャージの力が失われつつある。
 くらくらと視界が回る。眩暈にも似た感覚が襲う。
 その瞬間だった。
 天使長ミトラーの箱舟型ドルボードが加速し、私の隣へと躍り出た。

「しまった……!」

 と、口にする暇もなく、視界の中の箱舟が巨大化する……否、急接近する!
 私もあの岩壁のように粉砕しようというのか? 私はグリップを握り締めたまま、衝撃に備え歯を食いしばった。
 その様がおかしかったのか、天使長は笑った。業風に乗って、天使の声が荒野を渡る。

「そう怖がるなよ。何もしないさ」

 再度の接近。赤いミラーグラスが私を覗き込んだ。
「何故、追ってくる?」

 ミトラーの問いかけは、前回と同じだった。
 一瞬、頭の中が空白になる。

「何故も何も……」

 砂と風、そして混乱。渦巻くノイズの中に、怒りにも似た感情がフツフツと沸き起こる。
 私は風に逆らい、スピードを上げた。

「……貴女が逃げるからでしょう!」
「……そうか」

 一瞬……。ミラーグラスの奥で、天使の瞳が俯いた。
 ゾクリ。心臓を掴まれたような感覚が走る。
 風の中を、冷たいものが流れてきた。
 ミラーグラスが砂に曇る。
 何かがおかしい。私は何か、言ってはいけないことを言ってしまったのではないか?
 静寂とは無縁のフィールドを、沈黙が支配する。
 そして私は、ハッと顔を上げた。
 肩を落とす天使の背には、純白の翼が一枚。
 そう、一枚。
 片翼の背中に目を奪われた私は、次に視界そのものを奪われることとなった。

「!?」

 突然、顔面に飛来したのは岩盤の欠片ではない。一枚の紙きれだ。
 思わずブレーキペダルを踏む。

「そこに来い」

 天使の声が囁く。私が紙切れを顔面からはぎ取った時、もう箱舟型ドルバイクは彼方へと走り去っていた。
 爆音が木霊する。
 もはや追いつけまい。いや……

『もはや追う必要もない、な』

 私は紙切れを片手に荒野を見つめていた。
 紙面に踊る文字は『あまあま』『中毒』『バエル』そして『今だけ!』『割引!』
 砂竜巻は去っていった。
 方角は、日の沈む方向。……アラモンド旧鉱山だった。
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