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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 130

ライブカメラ画像

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ミラージュの冒険日誌

2024-06-17 20:51:54.0 2024-06-17 21:37:41.0テーマ:その他

星空の守り人(4)【なりきり冒険日誌※ver6.5までのストーリー記述あり】

 色とりどりの羽を閃かせた蝶の群れが、暮れかけた空を羽ばたく。夕映えに染まった雲は、燃えるように赤く輝いていた。
 フォーリオンを飛び立った小型飛空艇"バタフライト"は計15機。その中に私の姿もあった。
 訓練ではない。
 機体を覆う光のドームを通して頭上を見上げると、地を睥睨する魔眼の月がそこに鎮座していた。視界に映る禍々しくも神秘的なその光景は、少しずつ、だが確実に巨大化しつつある。
 そしてその月から、雪のように降り注ぐ数々の結晶体も。
 硬質な翼が夜を切り裂く。あれこそはジア・クトの降下部隊。フォーリオンを狙う襲撃者達だ。
 天使兵のハルルートが私の隣で槍を握り締めた。リルリラの額に汗が滲み、柔らかな金髪が張り付いた。猫魔道のニャルベルトも尻尾を逆立てる。
 バタフライト各機には操舵手一名と二名の冒険者、そして一名の天使兵が乗り込んでいた。この機も例外ではない。計四名。少々手狭だが、天使兵はいざとなれば蝶から飛び出して自らの翼で戦える。それを見越しての編成である。
 連絡石が輝く。カンティスからの通信だ。

『わかっているだろうが』

 と、彼は念を押した。

『迎撃は不要だ。散開してやりすごせ』

 リルリラは指示に従い、緩やかに僚機との距離を取った。

『降下してくる敵はフォーリオンの守備隊が相手をする。お前たちの標的はただ一つ、敵の主力兵器"魔眼砲"……!』

 そこで一拍置き、天使は声を潜めた。

『……奴らにそう思わせるのだ』

 私は頷いた。
 それが作戦の要であった。

 *

 ジア・クトの巨大兵器"魔眼砲"の存在が明らかになったのは、ほんの数刻前のことだった。その砲身から打ち出される"滅浄の大光"は大陸規模の破壊を可能とするという。
 神都は騒然となった。この難物がある限り、フォーリオンで敵地に乗り込む作戦は封じられたも同然。撃ち落してくれと言っているようなものだ。
 だが手をこまねいて待っているわけにはいかない。苦慮の末、天使長ミトラーは英雄達に指令を下した。太古の小型船、"天の箱舟"を使って敵地に潜入し、魔眼砲を破壊せよ、と。フォーリオンの発進はその後だ。
 この作戦については不満の声もあった。ドワーフの道具使いが食って掛かる。

「それって結局、危ない橋は全部英雄サンにお任せするってことじゃねえか!」

 同調する声が溢れる。冒険者から。そして天使からも。
 ある天使などはミトラーの制止を振り切って箱舟に乗り込み、無理やり英雄達に同行したほどである。
 残された者達も気持ちは同じだった。神都が揺れ動く。今すぐにでも飛び立てと、血潮を燃やして脈動する。

「天使長! フォーリオンはいつでも飛べますよ!」

 技術者が叫んだ。

「発進は認めない! 冷静になれ!」

 ミトラーの額にも汗が滲んでいた。迂闊な決断は全滅を招く。

「ならば」

 と、カンティスが提案したのが、バタフライト隊による陽動作戦である。 「ジア・クトも小さな目標に戦略兵器を向ける愚は犯さないでしょう。英雄達とは別方面から月を強襲し、敵の注意を引くのです」

 天使長は目を丸くした。

「バタフライトで月まで飛ぶ気か? アレは長距離航行用ではないのだぞ?」
「パルミオ博士によれば、性能的には可能とのことです」

 ただし燃料が足りない。戦闘時間にもよるが、片道切符になるというのが博士の見解だ。

「帰りの燃料は必要ない」

 カンティスは断言した。

「フォーリオンで迎えに行けばいい」

 ミトラーは息を飲んだ。大胆な作戦と言えた。

「随分と思い切ったな」

 私の言葉に彼はため息を返した。

「冒険者たちが代弁してくれた通りだ。……神の使い。天の守護者、世界の管理者などとでかい口を叩いておきながら何もできず、全て英雄達に任せきり……。それはあんまりだろう」

 彼自身、握った拳が震えていた。戦務室出身。武を司る天使の頂点に立つ男だ。己の不甲斐なさを誰より感じていたのは彼だったに違いない。

「そう思ってなお、ユーライザのように感情に身を任せることはできなかった……時々自分が嫌になる」

 例の、強引に同行した天使のことだ。青く、眩しい。 「いいや、貴公が残ったのは正解だ」

 私は首を振った。

「指揮官は後ろでどっしりと構えているのが仕事だ。蛮勇は我々冒険者に任せておけばいい」

 私はフライト隊の面々と顔を見合わせ、笑みを浮かべた。少なくとも、今我々が飛べるのは彼が天使長と直に掛け合い、許可を取ってくれたからなのだ。
 それぞれがそれぞれの場所で戦えばいい。
 こうして全てが動き始めた。
 我々は光の胡蝶、バタフライトの背に乗ってフォーリオンを飛び立った。
 監視網が敵降下部隊の存在を感知したのは、その直後のことだった。
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