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フォースマエストロ

ミラージュ

[ミラージュ]

キャラID
: DX235-898
種 族
: ウェディ
性 別
: 男
職 業
: 魔法戦士
レベル
: 133

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ミラージュの冒険日誌

2024-06-23 16:30:50.0 テーマ:その他

星空の守り人(9)【なりきり冒険日誌※ver6.5までのストーリー記述あり】

 蝶たちが徐々に勢いづく。
 各機が近接戦闘力を増したことで、ジア兵も乗り込んでの戦いを躊躇し始めた。距離を取り、射撃による攻撃に切り替える。
 これはフライト隊にとっては、好機であった。
 崩された陣形を立て直し、三段撃ち戦術を再開する。夜空に再度、蝶の舞が展開される。ジアの軍勢が波状攻撃に怯み、やや後退する。

「ここが踏ん張りどころだ! 陣を崩すなよ!」

 誰かが叫んだ。誰もが頷く。
 ここにいる全員が歴戦の勇士だ。レクスルクスで、防衛軍で、あるいは常闇の聖戦で、苦戦苦闘を経験してきた。そして絶体絶命の窮地から戦線を立て直し、勝利した経験を持っていた。
 その経験が告げていた。ここで立て直せなければ勝ち目は無いと。
 夜に胡蝶が舞う。撃っては退き、退いては撃ち、接近戦を拒絶する。敵の持ち味を封じ、自分の戦術を展開する。それだけが、力に勝る敵に勝利する道だと全員が知っていた。
 少しずつ戦線を押し返す。徐々に敵影が数を減らしていく。輝くジア念晶が夜空の露と散り、星の光に紛れていく。

「行けるぞ!」

 誰かが勇ましく雄たけびを上げた。
 ……だがそんな戦場に、なおも嘲笑が降り注いだ。空間に反響するような、不気味な声。
 ジア・ミラルダは仮面のような顔を愉悦の色に染め、誰よりも高い場所から空を見下ろしていた。
「「堪能した」」

 仮面が無機質に微笑む。

「「逃げ惑う。狼狽する。血相を変え、奮闘する。我が愉悦なり。その全てが」」

 戦士達は身構えた。いよいよ幹部のお出ましか、と。
 だが酷薄なる仮面はそれを嘲笑う様に冷たく光り、両手を広げた。

「「……故に下賜する。更なる混沌を」」

 いくつもの閃光が走り、空が渦を巻く。そしてそれが闇に返った時……

「増援だと!?」

 そこに空を埋め尽くす新たなジアの大軍が出現していた。
 冒険者達が青ざめた。あの数を相手に陣を維持できるか? 絶望が降りてくる。ミラルダは満足げに笑みを浮かべ、嘲りの言葉を紡いだ。

「全ては戯れ。決定権は我が手の内に。ジア・ミラルダ。支配者の名だ」

 ジアに満たされた空が徐々に密度を上げながら光輪へと迫る。もはや防ぎきるのは不可能だった。

「だが、勝敗は別だぞ……!」

 私は荒い息を整えながら、背後に目をやった。  光輪。守るべき英雄達の足場。光と影が幾度となく爆発を起こし、空を点滅させていた。
 ジア・ゲノスの巨体は稲光のように輝き、英雄達は必死の形相でそれに立ち向かう。天が焼け焦げるほどの爆炎が上がる。業火の中に、駆けていく戦士の姿が影絵のように浮かび上がった。
 その残光を浴びるだけで、私は肌が泡立つような感覚を覚える。
 大魔王と呼ばれたあの冒険者が、闘神と崇められたラダ・ガートが、苦悶の呻きを押し殺し、歯を食いしばっている。手の届かぬほどの高みに立つ彼らでさえ血を流し、痛みをこらえ、力を振り絞って戦っているのだ。

「俺達が先に諦めるってワケにはいかねえよな……」

 道具使いが舌打ちしつつ弓を構えた。
 今戦いを放棄すれば、英雄達は足場を失うだろう。それは人類の敗北を意味する。撤退は選択肢たりえない。

「可能な限り時間を稼ぐしかありませんなあ」

 プクリポの術師がため息をつくのが聞こえた。我々の全滅が先か、英雄達がジア・ゲノスを倒すのが先か。
 大空に戦うのは、天星の英雄達だけではない。泥まみれの持久戦だ。

 冒険者達は意を決し、それぞれの得物を握り締める。
 ジア兵が速度を上げる。ジア・ミラルダが残忍な笑みを浮かべた。
 その時だった。

 夜の雲が光に包まれた。  真下からの光に、影が色濃く浮かび上がる。
 そして我々の足元……低空から上空に向かって、無数の光が打ち上げられた。
 まるで柱が立ち上るように、何条もの光が舞い上がる。
 それは流れ落ちる瀑布を逆流し、天へと昇る龍の伝説を彷彿とさせる光景だった。
 ジア・ミラルダの目が驚愕に見開かれる。
 光が、ジアの軍勢へと突き刺さる。真下からの強襲がジア軍をズタズタに引き裂いた。鉱物生命体が悲鳴を上げ、砕けていく。

「「観測する……想定の外側!?」」

 ジア・ミラルダが初めて声を荒げた。
 光が収束し、夜空が再び顔をのぞかせる。
 そして我々の眼下には、見慣れた風景が広がっていた。

「フォーリオン……!!」

 都市の内部に火を灯し、空を走る堂々たる威容が、そこに浮かんでいた。
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