悲しいことに、また一人、チームメイトが壁Dasherの餌食になってしまった。
魔瘴の漢(おとこ)と呼ばれた彼も、壁Dasherの牙にかかってはなす術も無し。
ただひたすらに壁に向かって駆け続ける彼の姿を、
俺は、庭具で覆い隠すことくらいしか出来なかった。
壁Dasherに取り憑かれた戦友が、衆目に晒されるのが耐えられなかったから。
自分一人の力ではどうしようも無かったので、途中でトルエンさんを呼んだ。
彼もまた大変驚きつつ、しかし快く手伝ってくれた。
必死で砲台を押す彼の背中は、悲しみを通り越して、むしろ笑っている様にすら見えた。
壁の向こうにダイブしてしまった友に、
今、この言葉を送ろう……。
「今世紀最高の、走りだったぜ……!!」