今回は1年2ヵ月ぶり好きなアーティスト特集です。私はアルゼンチンの世界的タンゴ音楽家、アストル・ピアソラをさらに深掘りして紹介。
図書館でピアソラ解説本を借りてきて正確な情報をお届けできました。
① エスクアロ 5:21
エスクアロとは鮫(サメ)の事で、ピアソラが休暇に熱中した鮫釣りが由来です。
ピアソラ音楽は3-3-2拍子のリズムが特徴的ですが、これを目まぐるしく変化させることでスリリングな場面を表現しています。
本来バンドネオンが主役のピアソラ楽曲ですが、近い楽器のアコーディオン奏者リチャード・ガリアーノによるアレンジです。
しかし、それよりもこの動画はヴァイオリンのセバスティアン・シュレルが凄いので注目してください。
まず、いきなりヴァイオリンを抱えてギターのように演奏し始めます。
気が付けば普通に弾き始めていて3分過ぎのソロ演奏はありえない腕の動きで超絶技巧を見せつけます。
このあたりはエスクアロ最終形態に進化して、もはやラスボス感ありますねw
② ヴィオレンタンゴ 3:37
1973年に心臓発作で倒れたピアソラ。
一命をとりとめて半年の療養期間を挟み、イタリアの新天地で革新的な音楽を次々と作曲します。
そこで生まれたのがピアソラで最も有名な曲リベルタンゴ(自由+タンゴの造語)で、同じアルバムに収録されたのがこのヴィオレンタンゴ(激しいタンゴ)です。
ヴァイオリンの演奏は廣津留すみれ。
妊娠中に育児本を200冊読破したという熱心な教育ママ、廣津留真理さんの素晴らしい指導を受けてハーバード大学からジュリアード音楽院を卒業・修了という超エリートコースに進みました。
最近までテレビ朝日の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』でコメンテーターとしても活躍していたのでご存知の方もいると思います。
肩書きや人気は伊達じゃない美しい演奏ですよね。
すみれさんがこの曲を初めて聴いた時の印象は
「戦隊ヒーローか○曜サスペンス劇場かと思った」
との事でさすがのコメント力を発揮しています(笑)
③ 南へ帰ろう 5:05
哀愁に満ちたメロディーが印象的なこの曲は1988年の映画『スール その先は愛』のテーマ曲としてピアソラが楽曲提供しました。
1976年から始まったアルゼンチン軍事政権下で政治犯として逮捕された男が、1983年の軍政の終了と共に釈放されて妻の待つ家へたどり着くまでを追憶と幻想を交えて描いた物語です。
「南」というのはアルゼンチンとブエノスアイレスの両方の南部を指しています。
どちらも貧しい地域で近代化に取り残されたアルゼンチン人には心の拠り所になっている方角なのです。
さらにイタリア南部からの移民が多い地域という事も重なります。
私は本で詳しく調べるまでは亡命や愛の逃避行の曲なのかなと思っていましたが、あながち間違っていませんでした。
ヴァイオリン奏者のルサンダ・パンフィリは10歳の時にイタリアの国際コンクールを優勝したモルドバ生まれの天才です。
コンクール仕様の上手くて正確なだけじゃない、聴く人の感情に強烈に訴えかける激エモな演奏ですね。

④ ブエノスアイレスの冬 10:25
動画時間が10分とやや長いかなと思いましたが、今回の締めの曲はこれ以外考えられませんでした。
ブエノスアイレスの四季シリーズでも冬の一曲は特に評価が高く、ピアソラ全体でも屈指の名曲です。
ピアソラは自身がライブで演奏する時は、冬を四季の一番初めに弾いていたようなのでお気に入りだったのかもしれません。
この曲はフィギュアスケートの高橋大輔選手が使用していて、最高に素晴らしい演技だったのも思い出深いです。
暗闇をもがきながら一筋の光に手を伸ばすという難しいテーマを圧倒的な表現力で演じ切っていました。
そしてピアソラは言うまでもないですが、私はジャズヴァイオリニストの寺井尚子さんも昔から大好きなアーティストです。
酒場ピアノでは他に『シロッコ』を演奏した事がありましたね。
とにかく熱い演奏でテンション上がります。
9分過ぎで厳しい冬は過ぎ去り、春の芽吹きを予感させる穏やかな旋律と共に曲は終わります。
⑤ リベルタンゴ 山中惇史編 3:36
ピアソラおたくとしてはメジャー過ぎて恥ずかしい曲なので延長会にもってきましたw
コワモテでカリスマ的人気の石田泰尚と神奈川フィルのコンサートマスターを8年間務めた崎谷直人、一流ヴァイオリニストの豪華共演です。
延長会に参加した人たちみんなで一緒にヴァイオリン演奏できて楽しかったですね。
⑥ リバース 戦闘2 勇気と誇りを胸に 3:54
ピアソラ関係ないですが聖剣伝説2の曲を入れてくれたアスティナさんに被せる形で、私が聖剣伝説の一番好きな曲で今回のイベントは締めました。