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紅蓮の羅刹王

マユラ

[マユラ]

キャラID
: HF944-321
種 族
: オーガ
性 別
: 女
職 業
: 武闘家
レベル
: 140

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マユラの冒険日誌

2026-03-29 20:58:34.0 テーマ:その他

ウェナの碧い海と蒼穹の執事

9 黒翳のアーシュラ④

「ガ……ハァッ!」
 言わば〈ディプロ・アルシオン〉とでも称すべき斬撃を必中のタイミングで食らったジンオウからは烈火の闘気が消え失せ、アーシュラの着地と同時に仰向けとなって倒れ――この瞬間、勝負は決していた。
『お見事です、アーシュラさん。今をもって、貴方を機甲戦団ガイデス特攻隊長として幹部待遇で採用します。詳細はこちらをご覧ください』
 壇上から下りてきたディザイアが右腕をアーシュラに向け、手首が下へ折れ曲がるかのようにパカッと開く。その断面からジジジ……と排出された明細に、彼女が目を通し始める。
『アーシュラさんは通いの地域扱いのようなものですので、全域扱いの戦艦常駐よりもほんの少しだけ差が出ますが、それでもその戦闘力には十分な報酬でお応えするつもりです。如何でしょうか?』
 メギウスの説明を聞きながら明細を読み終えたアーシュラが顔を上げ、晴れて契約成立――となる前に、
「最初にお願いした条件を必ず守ってもらえるなら、お引き受けしようと思う。それを破られたら、私は貴公らと戦わざるを得ない」
『約束しましょう。貴方は出資者サイドからの推薦ですし、何よりあのジンオウさんを正面から叩き潰せる戦闘者を敵に回したくはありませんのでね』
 それを聞いたアーシュラが大きく頷き、ここに新たなる特攻隊長が誕生――最初に声をかけてきたのはシキョウであった。
「俺ァシキョウってェケチな野郎さ。よんどころない事情があってこの面を被っちゃあいるが、まァ仲良くしてくれや。あんたみてェなイイ女は大歓迎だぜェ……って、ちょいと馴れ馴れし過ぎるかい?」
 懐から出した右手で握手を求めるシキョウに対し、意外にもアーシュラは、
「ああ、いや……私も貴公と同じで素顔は明かせない身だが、良くしてもらえると嬉しい」
 と、割合素直に応じるのであった。
「おっ、嬉しいねェ。それにしても、お前さんの戦いっぷりと来たら爽快だったぜェ。なァ、ゼーエンさんよォ」
「ああ……まさかあのジンオウをギリギリ殺さないように調整までしてみせるとは、あんたからは学びが多そうだ。俺はゼーエン、よかったら後で少し話をさせてくれないか?」
 同じくアーシュラと握手を交わしたゼーエンが、未だ仰向けで動けないジンオウをチラリと見やる。相当なダメージこそ受けているものの、その胸は荒い呼吸に合わせて動いているのが分かる。
「試合で相手を殺すつもりはない。それと……申し訳ないが、今夜はそろそろ戻らないといけない。明日でも構わないだろうか」
「助かる。無理を言ってすまないが、あんたの話を色々聞いてみたいんだ」
 一体どれほどの修練を積めば、あれほどまでになることができるのか。セバスとの戦いを機に、ゼーエンは魔装以外の強さを真摯に追求し始めていた。次こそはアズール・プルミエ――否、ウェナブルーに後れを取るつもりはない、と。
『ではアーシュラさん、こちらは私が丹精込めて錬金した固定ルーラストーン〈戦団の石〉です。どうか失くさないでくださいね』
 ディザイアの手首から今度はルーラストーンが排出され、それを受領するアーシュラ。
「承知した。ところで……彼はどうなる?」
『ああ、ジンオウさんですか。彼は貴方との約束には含まれていませんが、これまで本当によく頑張ってくれましたからね。処遇はこちらにお任せを』
 ディザイア越しということもあり、メギウスの真意が一層読み取れない状態ではあるが、アーシュラとてジンオウの身柄にまで口を出せる立場にない。
「では、今夜は失礼する。お疲れ様でした」
 退勤時の挨拶を律儀に述べ、アーシュラが漆黒の翼を翻して大ホールから姿を消す。その余韻を表すかのように、後には一枚の羽根が残されていた。

〜9 黒翳のアーシュラ⑤へ続く〜
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